中小の飲食 宿泊業などで「債務不履行」増加のおそれ 日銀

日銀は、日本の金融システムの現状やリスクについて分析した半年に1度の報告書を公表しました。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、飲食や宿泊などの「対面型サービス業」で、借金を返せなくなる中小企業が大幅に増えるおそれがあると警鐘を鳴らしています。

日銀が20日、発表した半年に1度の「金融システムレポート」は、日本の金融システムについて「全体として安定性を維持している」としたうえで、中小企業70万社以上の財務データを使うなどして、今後、注意するべきリスクを分析しています。

それによりますと、給付金や実質無利子・無担保融資といった政府の支援策が企業の経営の下支えに一定の効果を発揮している一方、飲食や宿泊などの「対面型サービス業」では、収益の厳しさが残ることが想定されることから、今年度以降、借金を返せなくなる「債務不履行」に陥る中小企業が大幅に増えるおそれがあると警鐘を鳴らしています。

このため、金融機関として取り引き先の状況を一層きめ細かく把握することの重要性が高まっていると指摘し、各金融機関に対し適切なリスク管理を促しています。

日銀は、この報告書の内容を踏まえ、来週開く金融政策決定会合で国内の景気や物価情勢に加えて、金融システムについても点検することにしています。