官房長官“大阪府から宣言要請あればきょうにも協議する”

新型コロナウイルス対策で、大阪府が国に緊急事態宣言の発出を要請することを受けて、加藤官房長官は、自民党幹部に対し、大阪府から要請があれば、20日にも菅総理大臣と関係閣僚が対応を協議することになるという見通しを伝えました。

大阪府の吉村知事が19日、感染の急拡大を受けて、緊急事態宣言の発出を国に要請する考えを示したことを受けて、加藤官房長官は、20日朝、東京都内で、自民党の森山国会対策委員長や林幹事長代理と会談しました。

この中で、加藤官房長官は、大阪府から要請があれば、20日にも菅総理大臣と西村経済再生担当大臣、田村厚生労働大臣ら関係閣僚が対応を協議することになるという見通しを伝えました。

政府は、宣言の扱いについて、ことし2月に改正された特別措置法の付帯決議で、知事から要請があった場合は最大限尊重するとされていることも踏まえ、病床の状況などを見極めて3回目となる宣言が必要かどうか判断する方針です。

また加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「大阪府では、新規感染者数の増加に伴って、病床使用率と重症病床使用率も急速に上昇しており、医療提供体制が大変厳しい状況になっている。きょう、厚生労働省のアドバイザリーボードで、専門家に直近の感染状況について評価、分析をいただくこととしている」と述べました。

そのうえで、緊急事態宣言について「都道府県知事からの要請があった場合は、新型コロナウイルス対策の改正特別措置法の付帯決議において、最大限尊重し、速やかに検討することとされている。仮に要請がなされれば、付帯決議の趣旨に沿って必要な検討を行っていくことになる」と述べました。

西村経済再生相「国民の命守るためちゅうちょしてはならない」

新型コロナウイルス対策をめぐり、西村経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、大阪府から緊急事態宣言の要請があれば速やかに検討するとしたうえで「国民の命を守るために必要があれば、宣言をちゅうちょしてはならない」と述べました。

この中で、西村経済再生担当大臣は大阪の状況について、新規感染者数は人の流れが減って伸びが鈍化しているものの、依然として高い水準で推移しており、このままの状況が続けば病床がさらにひっ迫する極めて緊張した状況にあると説明しました。

そして、大阪府から緊急事態宣言の要請があれば、速やかに検討するとして「対策を強化しないと感染者を減らせないので、飲食店や商業施設などへの対策の強化などを含め、府や専門家の意見を聴きながら検討を急いでいる」と述べました。

また、東京都については「人の流れが減っていないことと、来月には、すべて変異株に入れ替わるだろうという予測が専門家からなされていることを考えれば、対策の強化が必要な状況にある。早急に対応を協議したい」と述べました。

そのうえで西村大臣は、大阪や東京への緊急事態宣言の発出について「国民の命を守るために必要があれば、宣言をちゅうちょしてはならない」と述べました。

田村厚生労働相「府知事と連携し対応を検討」

田村厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「『まん延防止等重点措置』で感染を十分に抑えられないという評価を専門家がするならば、さらに強い措置を行うことになる。専門家の意見をもらいながら政府全体で考えたい。『さらに強い対応を』と、大阪府知事が話をしているので、しっかりと連携しながら、どういう対応が可能か検討していかなければならない」と述べました。

自民 二階幹事長「ちゅうちょせず積極的に」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「こういう事態なので、適宜適切に対応していくことが大事であり、打った手がどうだったかを後追いで言ったところでしかたがない。その時の十分な判断と医療関係者の専門的な知識によって判断を下していくことであり、ちゅうちょせず積極的にやってもらいたい」と述べました。

立民 安住国対委員長「状況は悪化 菅首相は説明責任を」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「大型連休が始まるわけだが、国民から見たら、政府は、この1年間何をやっていたんだという話になると思う。去年と全く同じ状況で何も好転しておらず、むしろ悪化している。菅総理大臣は説明責任を負わなければならない事態になった」と述べました。

一方、東京への対応については「もう緊急事態宣言が不可避な状況にも見える。出す場合には休業要請をどこまでかけるのかや、その根拠とともに戦略性を示してもらいたい。ただ宣言を出しても中身が重点措置と変わらなければ意味がなく、政府と東京都には、ちゃんと実効性があがるようにしてもらいたい」と述べました。

立民 福山幹事長 「国民の命や生活を守らない政権」

立憲民主党の福山幹事長は、記者会見で「東京などで先の緊急事態宣言が解除されてからわずか1か月で、あちこちの都道府県が宣言や重点措置を検討、要請する事態になっている。菅内閣の判断は誤りだったと言え、その責任を問わざるを得ない。国民の命や生活を守らない政権と言わざるをえず、強く遺憾に思っている」と述べました。

公明 山口代表「不安や混乱を最小限の対策検討を」

公明党の山口代表は、記者会見で「大阪府では、変異ウイルスの割合が非常に高くなって感染が拡大している。実態を客観的によく分析して、国と自治体がよく連携したうえで、不安や混乱を最小限にとどめるような対策を検討してもらいたい」と述べました。

一方、東京など首都圏への対応については「東京も感染者数が拡大傾向にあるが『まん延防止等重点措置』を適用してから、効果があらわれる期間をすぎていないので見極めたい」と述べました。

また、記者団から、学校の休校要請の必要性について問われたのに対し、山口氏は「かなり広範な影響が及ぶので、よく配慮した対応を慎重に検討してもらいたい」と述べました。