「現場は災害レベル」急増する重症患者治療する病院 大阪

大阪府で新型コロナの重症患者が急増し、医療の提供体制が極めて厳しい状況となる中、重症患者の治療を行っている東大阪市の病院は急きょ、病床の数を増やして対応に当たっています。しかし、1日に数十件も搬送の受け入れを断ることもあり、病院は「現場は災害レベルの状況だ」と警鐘を鳴らしています。

重症患者の治療を行っている病院の一つ、東大阪市にある府立中河内救命救急センターは、これまで8床を用意して新型コロナの重症患者を受け入れてきました。

しかし、重症患者の急激な増加を受け今月16日、急きょ、医師や看護師など医療スタッフの数はそのままで、病床を10床に増やしました。

19日も満床の状態が続いています。
現在の状況について山村仁所長は「重症で治療しなければいけない患者がかなり多くいるので、状態が少しでも安定した患者はすぐに中等症病院に出して、新しい患者を受け入れている。常に2~3人は患者が入れ代わっている状態だ」と話しています。

それでも、患者の受け入れ要請の電話は鳴りやまず、救急の受け入れを断らざるをえない状況になっているといいます。

山村所長は「きのうの救急の受け入れ要請の8割は新型コロナ関係だ。新型コロナが疑われる、あるいは新型コロナの患者が自宅待機中に呼吸状態が悪くなったという症例を20件くらい断った。ホテルや自宅からそのまま症状が悪化して重症病院に運ばれている症例がかなりある」と述べ、自宅やホテルで療養している新型コロナの患者の症状が悪化し、救急車で搬送されるケースが増えていると指摘しています。

また、山村所長は「医療現場は、患者の受け入れや転院調整、それに重症の治療を含めて、東日本大震災や阪神・淡路大震災のときと同じくらいのレベルになっている。一方、震災では街の雰囲気と病院の雰囲気が一致し、危機感が共有できるが、医療現場の危機感と街なかの風景はかなり温度差があると感じる」と述べ、医療現場はすでに災害のときと同じような状況になっているとして、警鐘を鳴らしています。

そのうえで「災害のときも通常の医療はできないが、もうそういう形ではできていないというのがこの数日の医療現場の状況だ。患者の既往歴や年齢などの要因を考えながら、ある程度、治療の選択肢を選んでいかないといけない」と指摘しています。

また、吉村知事が国に対し、近く緊急事態宣言の発出を要請する考えを示したことについて「重症化した患者が病院に入れずにあふれている状態なので、いったん人の動きを止めて、これ以上、新たな感染者を増やさないようにしないと歯止めがかからない」として、一刻も早く要請をしてほしいと訴えていました。