米FDA コロナ抗体医薬「バムラニビマブ」緊急使用許可取り消し

アメリカの規制当局は16日、製薬大手イーライリリーが新型コロナウイルスの治療薬として開発した「バムラニビマブ」について、各地で広がっている変異したウイルスに対する効果が低いとして、緊急使用の許可を取り消すと発表しました。

製薬大手イーライリリーが開発した抗体医薬「バムラニビマブ」は、去年11月にFDA=食品医薬品局から緊急使用の許可が出され、軽症から中等症の患者に対して使われてきました。

FDAは16日、「バムラニビマブ」について、最近得られた科学的なデータから、各地で広がっている変異ウイルスに対して効果が低いことが分かったとして、緊急使用の許可を取り消すと発表しました。

「バムラニビマブ」は、別の抗体医薬と組み合わせて使われることもあり、この場合は引き続き使用を許可するとしています。

抗体医薬はウイルスなどの働きを抑える「抗体」を人工的に作り出して投与するものですが、日本では新型コロナウイルスの治療薬として使用が許可されたり承認されたりしているものはありません。

各地でさまざまな変異ウイルスが見つかる中、一部の変異ウイルスに対してこれまでアメリカで使われてきた抗体医薬の効果が低下する懸念が出ていて、変異に対応した新たな抗体医薬の開発も始まっています。

今回の発表についてイーライリリーは、アメリカ各地で複数の変異ウイルスが広がり「バムラニビマブ」を単独で使用した場合には十分な効果が得られない可能性が出てきたことに加え「バムラニビマブ」と別の抗体医薬を併用する場合は変異ウイルスの大半に効果があり、この抗体医薬の供給体制も整ったため単独での使用についてFDAに対して、緊急使用の許可の取り下げを求めたなどとするコメントを発表しています。