自民 二階幹事長 東京五輪 “感染状況深刻なら中止も選択肢”

東京オリンピック・パラリンピックについて、自民党の二階幹事長は、新型コロナウイルスの感染状況がより深刻になった場合には、大会を中止することも選択肢として考えざるをえないという認識を示しました。

自民党の二階幹事長は、TBSのCS番組の収録で、東京オリンピック・パラリンピックについて「国民の同意をえて盛り上げていくことは、日本にとって大事なことであり、大きなチャンスだ。ぜひ成功させたいと思うが、諸準備や解決すべきテーマがあり、一つ一つ解決していくことが大事だ」と指摘しました。

一方で、新型コロナウイルスの感染状況が、より深刻になった場合の対応を問われたのに対し「その時の状況で判断せざるをえない。『これ以上、とても無理だ』ということであれば、すぱっとやめなければならない。感染症をまん延させたら、何のためのオリンピックか分からない」と述べ、中止することも選択肢として考えざるをえないという認識を示しました。

一方、ワクチン接種を担当する河野規制改革担当大臣は、テレビ朝日の番組で、開催の在り方について「こういう状況で、開催できるやり方でやるということだと思う。それがおそらく、無観客ということになるのかもしれない。いつものオリンピックとは、やり方が違うんだと思う」と述べました。

二階幹事長「開催をしっかり支えることに変わりはない」

自民党の二階幹事長は、みずからの発言についてコメントを発表し「大会はぜひ成功させたいという思いだが、何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で申し上げたところだ」と釈明しました。

そのうえで「そもそも大会の開催の可否は関係者が決定することであり、現在、開催に向けて懸命の準備がされている。自民党としては安全・安心な大会の開催に向け、しっかり支えていくことに変わりはない」としています。

菅首相「開催に向けて感染防止に万全」

菅総理大臣は15日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「二階幹事長がその後に『安全・安心の大会の開催に向けてしっかり支えていく考え方に変わりはない』というコメントを出している。政府としても開催に向けて感染防止に万全を尽くしていきたい。これは変わらない」と述べました。

小池都知事「しった激励と受け止める」

東京都の小池知事は「それも選択肢だという発言だったと聞いている。しった激励、ここはコロナを抑えていきましょうというメッセージだと受け止めている」と述べました。

丸川五輪相「『予断持たず柔軟対応』の指示と理解」

丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣は、記者団に対し「二階幹事長の発言は、文脈からすると『しっかりと準備し、予断を持って臨むのではなく、きちんと柔軟に対応しなさい』という指示だと理解している」と述べました。

そのうえで「最終的には、IOC=国際オリンピック委員会が判断すると思うが、大会の中止に至るような、例えば、選手の中にクラスターが発生するような状況を起こさないため、いかに準備ができるかということが大切だ」と述べました。

組織委 橋本会長「安心安全な舞台をつくるのが責務」

大会組織委員会の橋本会長は夕方、報道陣の取材に応じ「発言を直接は聞いていないが、心配しているという気持ちをおっしゃったのではないか。組織委員会としては、安心安全でこれならできる、やってもらいたい、という舞台をつくるのが責務で、皆さんにそう言ってもらえるように努力することに尽きる」と述べました。

また、組織委員会やIOC=国際オリンピック委員会が中止を含めた検討をしているのかという質問に対し「それはない」と否定したうえで「安心安全な大会に向けて今まで以上に準備を取り組んでいくことに変わりはない」と述べました。

橋本会長によりますと、二階幹事長の発言についてこれまでにIOCから組織委員会に問い合わせは寄せられていないということです。

加藤官房長官「発言のあとコメント発表 そこにすべてが」

加藤官房長官は午後の記者会見で、自民党の二階幹事長の発言について「発言のあと、コメントが発表され、そこにすべてがあらわれているのではないか。この夏の東京大会を成功させるために、政府としては、国民に安心して受け入れられると思っていただけることが重要だと考えている。最大の課題は新型コロナウイルス対策であり必要な対策を確実に、具体的に進めている。引き続き、安全・安心を最優先に、感染状況を注視し、関係者とも連携しつつ、大会に向けた準備をしっかり進めていきたい」と述べました。

自民 鴨下元環境相「選手の気持ちに応え開催を」

自民党東京都連の会長を務める鴨下元環境大臣は、派閥の会合で「大会を開催するか、しないかという話題も出ているが、聖火リレーは苦しいながらもつながれている。多くのアスリートから『大会を開催してもらいたい』という気持ちも伝わっており、それに応えていかなければならない」と述べました。

そのうえで「外国からの選手はワクチンを打っているが、日本の選手がそうでない状況で競技が成り立つかということもある。選手にもワクチンをできるだけ早く届け、接種してもらいたい」と指摘しました。

立民 安住国対委員長「慎重に見極める時期が来たのでは」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、代議士会で「『人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証としての東京オリンピック』というテーマは、感染拡大を考えると事実上厳しいのではないか。延期や中止をして財源があれば、コロナ対策に充てたほうがいいという意見もある。政府は感染状況を考えながら慎重に見極めなければならない時期が来たのではないか」と述べました。

共産 志位委員長「中止決断し感染収束に向けて集中を」

共産党の志位委員長は、記者会見で「与党の幹部が初めてオリンピックの開催中止について言及せざるを得なくなったのは、非常に重大な動きだ。国内外の新型コロナウイルスの感染状況を見れば、とても開催する状況にない。一刻も早く中止を決断し、感染収束に向けた取り組みに集中すべきだ」と述べました。