専門家会合「急速に変異ウイルスに置き換わりつつある」

新型コロナウイルスの感染拡大の第4波に入ったと指摘される中、対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれました。感染力の強い変異ウイルスについて関西だけでなく、東京都や愛知県など多くの地域で割合が上昇し、従来のウイルスから「急速に置き換わりがおきつつある」として、今後、感染の急拡大が懸念されるとしています。

専門家会合は、現在の感染状況について新たな感染者数は関西での急増に伴って先月下旬から増加率が高くなっているほか、重症者数も増加が継続しているとしました。

特に関西では入院患者や重症者の急増に伴って病床の使用率が上昇して、すでに医療体制が厳しい状況になっているとしています。

人の流れの減少傾向は見られるものの、感染者の減少につながるには一定の時間がかかり、今後もさらに入院患者や重症者の増加が予想されるとして、病床や医療従事者の確保が最優先で求められるとしています。

また、関西では多くの感染者が発生している中で大阪府や兵庫県で感染力が強い変異ウイルスの割合が高い水準で推移し、周辺の地域でも増えているとしていて、変異ウイルスの他の地域への流出を防ぐためにも不要不急の外出や移動を避けることが必要だとしています。

一方、首都圏では東京で感染者の増加が継続していて、感染力が強い変異ウイルスの割合が上昇していることもあり、緊急事態宣言の解除から3週間程度で感染者の急増が見られた関西と同様に、感染の急拡大が懸念されるとしています。

感染力の高い変異ウイルスについては、関西だけでなく、東京都や愛知県など多くの地域で割合が上昇し、従来のウイルスから「急速に置き換わりがおきつつある」としています。

また、全国的に20代から30代を中心に感染拡大の傾向が見られるとして、若い世代の感染拡大の要因を抑え、重症者を増やさないために高齢者に感染が波及しないよう警戒が必要だとしています。

そして、感染拡大を防ぐための対策として▼「3密」など人が集まる機会や宴会を避けること、▼昼カラオケや接客を伴う物販などの高齢者が集まる場面、それに日中も含めた長時間の会食など、感染リスクを知らせて注意喚起を行うことが必要だとしています。

脇田隆字座長は「関西では第3波に比べて、変異株の影響もあって感染者や重症者が増加するスピードが速い。医療機関では、一般の医療の抑制や救急患者の受け入れ率の低下が起きるなど非常に深刻な状況だ」と指摘しました。

そして「関西では感染力の強い変異株がすでに主流になっていると考えている。東京でも半分程度が置き換わるなど首都圏でも急速に割合が上昇している。今回の感染拡大の要因として変異株の影響はあるが、それだけでなく緊急事態宣言解除のあとの人出の増加、年度替わりで普段会わない人との接触が増えたことなども影響していると考えている」と述べました。