大阪 変異ウイルス 30代以下約6割 来週には確保病床超の試算も

大阪府では、8日、過去最多の905人が新たに新型コロナウイルスに感染したことが確認されました。

感染急拡大の要因の一つとみられている、変異ウイルス。大阪府が4月5日までの変異ウイルスの感染者の年代を調べたところ、30代以下が全体の6割近くを占めています。

大阪府が行った今後のシミュレーションでは、1日の新たな感染者数が来週14日の時点で1400人を超えると推計されているほか、患者数も来週までに、現在確保している病床数を超えると試算され、医療体制のひっ迫が懸念されています。

変異ウイルスの割合 30代以下が約6割

感染急拡大の要因の一つとみられている、変異ウイルス。

大阪府が4月5日までに確認された変異ウイルスの感染者の年代を調べたところ、若い世代に多い傾向がみられました。

30代以下の割合が58.2%となり、このうち20代以下が46.4%と全体の半数近くを占めています。

大阪府は、去年10月10日からことし2月28日までの期間を「第3波」としていますが、「第3波」では、30代以下は感染者全体の45.6%、20代以下は感染者全体の32.2%で、「第3波」と比べても、変異ウイルスへの感染は若い世代に多い傾向になっています。

変異ウイルスは「第3波」より重症化の割合高く

大阪府内で増え続ける新型コロナの変異ウイルスの感染者は第3波の感染者全体と比べると、重症化する割合が高くなる傾向がみられます。

大阪府は、「第3波」の感染者全体と、4月5日までに見つかった変異ウイルスの感染者全体について、重症者の割合などを調べました。

それによりますと、重症者の割合は、第3波の感染者では3.2%だったのに対して、変異ウイルスの感染者では4.7%となっています。

発症から重症化するまでの日数は、第3波では8日だったのが、変異ウイルスでは6.5日となり、変異ウイルスの方が短期間で重症化する傾向があることがわかりました。

大阪府は「現時点では変異ウイルス感染者の母数が少ないため、従来株との単純比較は難しいが、重症化率は従来株と比べて高い傾向だ」と分析しています。

大阪府の試算では 4月14日には1400人超に

大阪府の4月8日の感染者数は、905人と3日連続で過去最多を更新し、初めて900人を上回りました。

この先、感染者数はどうなっていくのか。大阪府は、今後の新規感染者数のシミュレーションも行っています。

3月31日の時点の感染者の発生傾向をもとに、それ以降の新規感染者が前の週と比べて2倍で増加すると想定し、1日当たりの新規感染者がどうなるか計算しました。

その結果、大阪府の新規感染者は、4月14日の時点で1426人になると推計しています。

大阪の重症者数 府の試算を上回るペース

また大阪府は、重症者数のシミュレーションも行っています。
4月13日には156人、4月14日には166人になると推計していますが、4月7日の時点での重症者数は158人となっていて、すでに府の計算を上回るペースで増加しています。

大阪府 来週までに確保病床数を超えると試算

また、大阪府のシミュレーションでは、
▽軽症・中等症の患者数は4月14日には2545人
▽宿泊療養者の人数は4月14日には2704人
になると推計しています。

しかしこの推計結果は、4月7日時点で大阪府が確保している
▽軽症・中等症患者向けの病床数1766床
▽宿泊療養者向けのベッド数を2416床
をいずれも超える計算となっていて、医療体制のひっ迫が懸念されています。

政府 分科会 尾身会長「明らかにいままでとは違うフェーズ」

新型コロナウイルス対策の政府の分科会の尾身茂会長は、感染力が高い変異ウイルスが関西を中心に広がっている現在の状況について「大阪などでは、市中でのウイルスの密度が高くなっている中で変異株が広がってしまい、明らかにいままでとは違うフェーズに入った。こうした状況で感染を減少傾向に転じさせるためには、単に飲食店の営業時間を短縮するだけでは十分ではなく、接触機会の削減や人が集まる場所を避けること、地域を越えた移動を控えてもらうなどの対策をパッケージで行っていくことが重要になる」と述べました。

そのうえで「東京でもこれから感染者数が増加していくことはほぼ間違いなく、とても難しい局面で、正念場に差しかかっていることは間違いない。重症化する人が増える事態を何としても避ける必要があり、高齢者のワクチン接種が終わるまでみんなでしのいでいくことが求められている」と強調しました。