対変異ウイルスへのワクチン有効性 研究開始 横浜市立大

新型コロナウイルスの変異は、ワクチンの効果にどのような影響を与えるのか。横浜市立大学の研究グループは、ワクチンを接種した人の血液を採取して、変異ウイルスに対するワクチンの有効性を調べる研究を始めました。

新型コロナウイルスは次々と変異を繰り返し、ワクチンが効きにくくなる可能性が指摘されている変異ウイルスも出てきています。

こうした中、横浜市立大学の研究グループは現在、国内で接種されているワクチンが、変異ウイルスにどこまで有効なのかを調べる研究を始めました。

研究では、ワクチンを接種した人の協力を得て血液を採取し、研究グループが新たに開発した技術で、変異ウイルスに対する「中和抗体」の働きを調べます。

中和抗体は感染を防ぐ働きがありますが、新たな技術では、3時間以内で中和抗体を測定できるということです。

研究グループは、ワクチンを接種した100人の血液を採取し、当面は、イギリスと南アフリカ、それにブラジルと日本で広がる変異ウイルスを対象にワクチンの有効性を分析することにしています。

さらに、今後新たな変異ウイルスが出てきたら、そのつど、分析していくことにしています。
研究グループのメンバーで、横浜市立大学データサイエンス研究科の山中竹春教授は「ウイルスはものすごいスピードで変異していくので、短時間でワクチンの有効性を評価することが今後求められる。日本独自のデータでワクチンの効果を明らかにすることで、どんな対策が必要なのかを考えることもできる」と話しています。

開発した新技術とは

今回の研究は、横浜市立大学の研究グループが開発した新技術を活用します。

グループは新型コロナウイルスに似せた特殊な粒子を作りました。

これに、変異ウイルスのスパイクタンパクを取り付けます。

そして、ワクチンを接種した人の血液から血清を取り出してかけあわせます。

そのうえで、サルの細胞に投与し、感染を防ぐ力のある「中和抗体」が働くかを調べます。

研究グループによりますと「中和抗体」の測定は72時間から1週間かかるのが一般的ですが今回は3時間以内で分析できるということです。

本物のウイルスを使うと感染のリスクがあるため測定に時間がかかりますが、今回の技術は、ウイルスに似せた粒子を使うことで、短時間で安全に測定が可能になったということです。

さらに、この技術では、複数の変異ウイルスに対する有効性を同時に調べることができます。

研究グループはワクチンを接種したおよそ100人の血液を採取して、変異ウイルスに対するワクチンの効果を検証し、日本人独自のデータを蓄積していきたいとしています。