大麻所持などで検挙 4年連続で過去最多更新 “健康に悪影響”

大麻を所持したなどとして検挙されたのは、去年1年間に全国で5034人にのぼり、4年連続で過去最多を更新しました。若い世代では「大麻は危険だ」という意識が低く、警察は取締りや対策を強化しています。

警察庁によりますと大麻を所持したり栽培したりしたなどとして検挙された人は、去年、全国で5034人と、前の年より713人増え4年連続で過去最多を更新しました。

年代別では、
▽20代が2540人と、最も多く全体の半数を占めたほか、
▽10代も、これまでで最も多い887人にのぼっています。

最近は、さらに低年齢化が進む傾向があり、
▽中学生8人
▽高校生159人
▽大学生219人が、検挙されました。

最近の事件の分析などから、若い世代では大麻が危険だという認識が低く、使用した動機も「興味本位」や「その場の雰囲気」などで、安易に入手している実態があるということです。

SNSでは隠語を使った薬物の売買が相次いでいるほか、一定の時間がたつとメッセージが消えるアプリを使って証拠を残さないようにするなど手口も巧妙化していて、警察はインターネット上での取締りも強化しています。

SNSで密売 若い世代中心に広がる

厚生労働省によりますと、違法薬物の取り引きはSNSを通じて若い世代を中心に広がっています。

最近は、捜査機関の目をくらまそうと、絵文字や隠語を使った取り引きも確認されているということです。

例えば絵文字では、
▽野菜が「大麻」
▽ハチミツは「大麻リキッド」や「大麻ワックス」
▽かき氷は「覚醒剤」
▽自転車は「コカイン」
▽カプセルは合成麻薬の「MDMA」を指していると見られています。

また、薬物を直接受け取りたいという人に向けて「手渡し」を意味する「手押し」という隠語を使って購入を持ちかける手口も目立つということです。

投稿を見た人がメッセージを送ると、密売人から通信の記録が残らないアプリを使ったやり取りに切り替えるよう指示されることもあるということで、取り引きが巧妙化している実態がうかがえます。

厚労省 “違法サイトで 手軽に違法薬物を入手”

厚生労働省監視指導・麻薬対策課の田中徹課長は「特に若年層の検挙が増加し、大変深刻な事態と受け止めている。最近はスマートフォンなどで簡単に違法サイトにアクセスできるため、結果として手軽に違法薬物を手に入れることができてしまう。若い人は気軽にSNSを利用するので、そうしたツールの普及も要因の1つだ」と指摘しています。

また、大麻に手を出す若者が後を絶たない理由について「使用しても健康に害がないといった誤った情報が広まっている」としたうえで「特に若い人は健康への影響が深刻で非常に危険なので、絶対に手を出さないでほしい。厚生労働省としても大麻が有害だという情報をわかりやすく発信し、取締りもさらに強化していきたい」と話しています。

大麻の使用は健康に悪影響

厚生労働省は、研究班による調査結果として大麻がもたらす健康への悪影響をまとめています。

それによりますと、大麻に含まれるTHCと呼ばれる成分にはいずれも急性の作用として、不安感や恐怖感、さいぎ心、パニック発作、短期記憶の障害があるということです。

また、眠気だけでなく、聴覚や触覚にも変化をもたらし、車の運転に影響を引き起こす危険があるということです。

青年期の使用は特に有害

このほか、大麻の使用を続けた場合には、統合失調症やうつ病を発症するリスクを増加させ、認知機能の障害を招くおそれがあり、特に、青年期から乱用するとこうしたリスクがさらに高まるほか、知能の低下や衝動の抑制が難しくなるといった危険性があるということです。

WHOも悪影響の見解を示す

WHO=世界保健機関も大麻を使用することによる健康への悪影響について、見解を示していて、短期的な悪影響として、意識障害や認知障害、幻覚などのほか、交通事故によるけがのリスクの増加、そして、妊娠中に使用すると胎児に悪影響が現れるおそれなどがあるとしています。

また、長期間にわたって定期的に使用することで、依存や認識機能障害、それに、ほかの違法薬物を使用する可能性や自殺のリスクが高まるなどとしています。

医薬品としての有用性も

一方、厚生労働省によりますと、大麻に含まれるCBDという成分については、抗てんかん作用などの有用性を認める報告があるということです。

このため、大麻草を原料にした医薬品がアメリカなどで複数、承認されていて、一部は難治性のてんかんの治療薬としても使用されています。

しかし、現在、日本では大麻取締法で規制の対象になっているため、こうした医薬品は国内での承認や海外からの輸入が認められていません。

厚生労働省は医療現場での使用を認めることができないか、検討会を設置して議論を進めていて、実用化を視野に治験を実施するため、研究班が具体的な方法について検討を進めています。

大麻をめぐる各国の対応は

しこう目的の大麻の使用をめぐっては、国によって対応が分かれています。

厚生労働省によりますと、国として合法と認めているのは、おととし1月の時点でカナダとウルグアイの2か国です。

また、しこう目的での大麻の使用を違法としているのは、日本、イギリス、ドイツ、フランス、ギリシャ、デンマーク、韓国、インド、タイ、イスラエル、オーストリア、ニュージーランド、スウェーデンです。

また、アメリカは国としては違法ですが一部の州が合法と認めています。

これとは別に、個人使用目的での少量の所持や使用などを認める「非犯罪化」の立場をとっているのは、イタリア、スペイン、ポルトガル、ロシア、オランダ、オーストラリア、ジャマイカ、チェコ、ルクセンブルク、コロンビア、マルタです。

厚生労働省によりますと、合法化したカナダではそれ以前から生涯で大麻を経験する人が4割を超え、国の管理下に置くことで犯罪組織の資金源になるのを防ぐとともに若者の乱用を防ぐこととされています。

合法化した国の見解は

合法化した国でも、大麻による健康への影響を認めています。

カナダ政府は長期的な影響として、記憶力や集中力、知能、思考力などに対する悪影響や、気管支炎や肺感染症などのリスクがあるほか、短期的な影響としては、妄想や幻覚といった精神病症状を引き起こす可能性があるなどとしています。

また、一部の州が合法化しているアメリカのCDC=疾病対策センターは、「大麻の使用は体と脳に幅広い健康影響を与える可能性がある」として、ホームページ上で健康に影響する項目を示しています。

厚生労働省は「『海外では合法化されているから安全だ』という考えは誤っている」としています。

合法化によって何が起きたか

厚生労働省によりますと、2012年にしこう目的の大麻の使用を認めたアメリカのコロラド州では、その7年後、交通事故の死亡者数に占める大麻使用者の割合が1.5倍に増加したほか、6年後、大麻を摂取したことによる救急搬送が2.4倍に増え、8歳以下の子どもが誤って使用し救急搬送されたケースも、5.6倍に増加したということです。

また、5年後、大麻の違法販売を目的とする犯罪の摘発率が3.9倍に、違法栽培による大麻の押収量も1.7倍に増えたということです。