コロナ影響「解雇」「雇い止め」見込み含め10万人超に 厚労省

新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人は見込みも含めて10万人を超えたことが厚生労働省がハローワークなどを通じて行った調査でわかりました。
厚生労働省は感染が再び拡大し、仕事を失う人がさらに増えるおそれがあるとして雇用の維持を呼びかけるとともに再就職の支援を強化しています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した企業などから解雇されたり、契約を更新されない「雇い止め」にされたりしたケースについて調査しています。

それによりますと、去年1月末から7日までに「解雇」や「雇い止め」で仕事を失った人は、見込みも含めて10万425人となり10万人を超えたことがわかりました。

厚生労働省によりますと、すでに再就職した人も含まれている可能性があります。

また、全国のハローワークなどで把握できた人数であるため、仕事を失った人は実際にはさらに多いとみられます。

新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人を月別でみると、去年の5月から7月、それに9月はいずれも1万人を超えました。

その後、去年11月からことし2月までは5000人台となっていましたが、先月は9200人余りと増加しています。

また、公表されている今月2日時点のデータをみると、業種別では製造業が2万2112人、次いで小売業が1万3090人、飲食業が1万2423人、宿泊業が1万1631人などとなっています。

都道府県別でみると、東京が2万2367人と最も多く、次いで大阪が9266人愛知が5577人神奈川が4365人などとなっています。

新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人のうち、パートやアルバイトなど非正規雇用で働いていた人は去年5月25日から今月2日までで、4万6687人となっています。

厚生労働省は感染が再び拡大し、仕事を失う人がさらに増えるおそれがあるとして企業に対して雇用調整助成金などを活用して雇用を維持するよう引き続き、呼びかけるとともに再就職の支援を強化しています。

ハローワークでは再就職支援を強化

新型コロナウイルスの影響が長期化する中、ハローワークでは、仕事を失った人の再就職支援を強化しています。

東京・豊島区にある「ハローワーク池袋」では、仕事を探すためにハローワークを訪れた人はことし1月は緊急事態宣言の影響で前の年の同じ時期に比べて減りましたが、2月以降は増加しているということです。

また、年度末に「解雇」や「雇い止め」で仕事を失い失業給付の手続きなどのためにハローワークを訪れる人は来週以降、増えると見込んでいます。

ハローワーク池袋では求人を出している企業の採用面接を受けることができる機会を増やすとともに、再就職の活動について相談に応じたりきめ細かなアドバイスをしたりするなど引き続き、支援に力を入れることにしています。

「ハローワーク池袋」の岩島英樹職業相談部長は「リーマンショックの時とは違い仕事を失いハローワークを訪れる人がゆっくりと増えていると感じます。これまでとは違う業種に再就職をしたいという人には職業訓練を紹介するなど、求職者のニーズに応じた再就職の支援に力を入れていきたいです」と話しています。

求職者「再就職を急ぎたい」

東京都内のハローワークを利用する人からは「再就職を急ぎたい」などという声が多く聞かれました。

東京・豊島区の「ハローワーク池袋」には、年度末で仕事を失った人が多く訪れていて、求人の内容などを確認したり、窓口で求職活動の相談をしたりしていました。

正社員として勤務していた飲食店を先月末で退職したという50代の男性は、「冬のボーナスが出なかったので、いよいよ業績が厳しくなったと感じていました。年齢的にも経験のある飲食業に再就職したいとは思うものの厳しい業界なので、幅広い業界を見てなるべく早く次の職場を決めたいです」と話していました。

希望退職に応募して先月末で退職したというアパレルの正社員だった40代の女性は「2回目の緊急事態宣言で業績が一段と悪化したとして、急に希望退職の募集がかかりました。新卒で入社した会社なので悩みましたが、このまま働き続けることにも不安を感じて退職しました。再就職は厳しい道のりかもしれませんが、正社員かどうかにこだわらずにできるだけ早く決めたいです」と話していました。