国内初の緊急事態宣言から1年 品薄となったマスクや消毒液は今

国内で初めて緊急事態宣言が出された去年春ごろは、全国的にマスクや消毒液などが品薄となっていました。特にマスクは買い占めや転売などが社会問題となりましたが、この1年で生産体制が強化されるなどして、国内の流通量は感染拡大前の5倍近くに増えたということです。

新型コロナウイルスの感染が拡大した影響で、マスクは去年1月下旬ごろから全国的に品薄となり、販売する店に長蛇の列ができたり、高く転売されたりと社会問題となりました。

このため政府は、去年3月、法律で転売を禁止したほか、4月には全国のすべての世帯に布マスクを配布する方針も示しました。

厚生労働省と経済産業省によりますと、国の補助事業で去年3月ごろからマスクを生産するメーカーが増えるなど、国内の生産能力が向上したことに加え、その後は、停滞していた海外のマスクの流通も次第に回復し、状況は改善に向かったということです。

厚生労働省は、一般のマスクの品薄状態が解消したのは7月末の段階だとしています。

1か月平均のマスクの流通量は、去年の秋ごろのデータで、国内生産分が2億9000万枚と、感染拡大前の3倍以上、海外からの輸入量が14億枚と5倍以上になりました。

国内全体の流通量は5倍近くに増加しているとしています。

また、業界団体の「全国マスク工業会」によりますと、一般用のマスクを生産する国内メーカーは、この1年で少なくとも3倍以上に増え、確認できるだけで100社以上にのぼるということです。

渋谷のドラッグストアでは

東京 渋谷区のドラッグストアでは、去年の大型連休明けごろから仕入れが安定し、今では一部の商品を除いて、すぐに入荷できる状態だということです。

最近では、不織布で色や柄がついたマスクの人気が高いということで、この店舗の全体の売り上げの3割から4割がマスクで占められているということです。

三千里薬品宇田川店の飯高宗久店長は「去年は開店前の行列などがありましたが、マスクの入荷が安定してからは、ほしい分だけを購入されるようになり、マスクの種類も増えました」と話しています。

60代の女性は「去年は、とても買えないような価格で売っていて、それでも買わなければいけない、という状況でした。今では二重にマスクをしています」と話していました。

アルコール消毒液は

経済産業省によりますと、マスクと同様に品薄となったアルコール消毒液は、国内の生産量がおととしの1か月平均で96万リットルでしたが、国内メーカーが設備を拡充するなどした結果、去年5月には600万リットルを超え、品薄の状態は解消に向かったということです。

需要が高い状態は今も続き、ことし2月も500万リットルを超える生産量となっています。

二酸化炭素濃度の測定器は品薄も

一方、現在は換気の状況を調べる目安として使われる二酸化炭素濃度の測定器の売れ行きが伸びています。

企業は供給量を増やしていますが、品薄になっているところもあります。

二酸化炭素濃度の測定器は、政府の分科会などが去年秋に、感染を拡大させないための対策の一環として紹介していたほか、ことし2月には、分科会がリバウンドを防ぐ対策としてまとめた提言の中で飲食店に利用を求めています。

「まん延防止等重点措置」が適用されている大阪府も、市内の飲食店などに機器の設置を要請しています。

こうした中で、製造や販売している企業には問い合わせや注文が相次ぎ、台湾の協力企業で製造された測定器を検査し、代理店やインターネットサイトなどを通じて販売している長野県内の企業は、去年の秋ごろから注文が増え始めたということです。

現在、販売数は新型コロナウイルスの感染拡大以前のおよそ10倍まで増えたため、ふだんより生産量を増やすことで対応しているものの、供給が追いついておらず、今の注文でも配送は5月下旬になるということです。