吉村知事 大阪府内公道の聖火リレー 中止する考え 感染拡大で

大阪府の吉村知事は、今月13日と14日に大阪府内で予定されている東京オリンピックの聖火リレーについて、新型コロナウイルスの感染の急拡大を踏まえ、公道でのリレーはすべて中止する考えを示しました。

そのうえで代わりの措置として、吹田市の万博記念公園を会場に、一般の府民を入れない形で実施できないか、大会の組織委員会と協議していることを明らかにしました。

大阪府の吉村知事は、今月13日と14日に大阪府内で予定されている聖火リレーについて、新型コロナの感染の急拡大による医療非常事態宣言に伴って府民に不要不急の外出や移動の自粛を要請することを踏まえ、府内の公道でのリレーは、すべて中止する考えを示しました。

そのうえで吉村知事は、代わりの措置として、今月13日と14日の2日間、吹田市の万博記念公園に府内を走る予定の聖火ランナーを招いて一般の府民を入れない形で聖火リレーを実施できないか、大会の組織委員会と協議していることを明らかにしました。

吉村知事は「楽しみにされていた方もいると思うが、感染対策上、公道では中止せざるをえない。万博記念公園を閉鎖し、家族や関係者など最小限の方のみの参加で大阪での聖火リレーは完結させたい」と述べました。

聖火ランナーに選ばれている人たちは…

大阪市を走る予定だった聖火ランナーのひとり、元競泳選手の島津眞理さん(57)は「聖火リレーの概要がきょう、はっきり決まると思って楽しみにしていましたが、まさか府内すべてで中止になると思わず、びっくりしました」と話していました。

島津さんは41年前のモスクワオリンピックへの出場が有力視されていましたが、東西冷戦を背景に日本が大会をボイコットしたため出場の夢はかなわず、違う形でオリンピックに関わりたいと思い、聖火ランナーに応募しました。

吹田市の万博記念公園での代替措置が検討されていることについて、島津さんは「大阪市出身なので、大歓声のなか、生まれた場所を走ることにこだわりがありましたが、感染が拡大するなかでもなんとかリレーができるように考えてもらい、感謝しています。オリンピックに出場する選手にエールを送るため、聖火をつなぎたいです」と意気込みを話していました。
大阪 池田市を走る予定だった奥田佳代子さん(63)は、生まれ育った地元に貢献したいと10年以上にわたってボランティア活動を続けています。

今回の聖火リレーも、地元を盛り上げたいという思いから応募したということです。

奥田さんは「とてもショックです。地元、池田市を聖火が通るのをみんなが楽しみにしていたので残念です。感染が拡大しているのでしかたないかもしれませんがやっぱり地元で走りたいです」と話していました。
聖火リレーで大阪市内を走る予定だった元会社員の山本潤二さん(62)は、3年半前、定年退職の直前に脳梗塞を患い、一時は車いすでの生活を余儀なくされました。

その後のリハビリで早歩きができるまで回復した姿を支えてくれた人たちに見てもらおうと意気込んでいました。

山本さんは「大阪市だけでなく府内すべてで中止になるのは、感染者数を考えるとやむえないと思います。代替案を考えてもらい、スタートラインに立たせてもらえるだけでもありがたいと感じています。公道を走れず、お世話になった人たちに見てもらえないのは残念ですが聖火リレーのためにずっと頑張ってきたので、どんな形であれしっかりと走り抜きたいです」と話していました。

堺市「市民に申し訳ない」

大阪府で最初に聖火リレーが行われる予定だった堺市で、およそ3年かけて準備を進めてきた堺市観光推進課の係長、窪裕輔さんは、インターネットでの知事会見のライブ配信で中止の方針を知ったということです。

窪さんは「感染が拡大している中なんとかリスクを減らして実施できないかと考えていたので残念です。しかたないと思いますが、ボランティアの人などたくさんの人に協力してもらっていたので、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と話していました。

一方で、代わりの措置として、万博記念公園での実施が検討されていることについて「協力できることがあれば堺市としても取り組ませていただきたい」と話していました。