「まん延防止等重点措置」きょう適用開始 対象地域では…

新型コロナウイルスの感染再拡大を受け5日、全国で初めて大阪、兵庫、宮城の3府県に「まん延防止等重点措置」が適用されました。

▽対応を迫られる飲食店は…
▽5日も東京を上回る感染が確認された大阪では…
「重点措置」の適用が始まった各地の動きをまとめました。

<大阪府 兵庫県> “重点措置”適用で…

大阪府と兵庫県は5日から来月5日までの1か月間「まん延防止等重点措置」が適用されたことを受け
▽大阪市と
▽神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市を対象地域として
飲食店などに対し営業時間を午後8時までとするよう要請しました。
そのうえで
▽正当な理由がなくマスクの着用に応じない客の入場を禁止すること
▽店内にアクリル板や二酸化炭素の濃度を測定するセンサーを設置すること
▽カラオケ設備の利用の自粛のほか
大阪では会食する際のマスクの着用を客に周知することも要請しました。

<大阪>「見回り隊」 飲食店の状況確認

大阪府と大阪市は飲食店での営業時間の短縮や「マスク会食」の徹底などが守られているかどうか、職員らが「見回り隊」を作って確認する取り組みを始めました。
これに先立って「見回り隊」の出発式が大阪市役所で行われ大阪府の吉村知事は「感染は急拡大しており、これを防ぐために感染に強い飲食の場をつくっていきたい」と述べました。
大阪市は5日から1か月間「まん延防止等重点措置」が適用され、市内の飲食店などには
▽営業時間の夜8時までの短縮や
▽マスク会食の徹底
それに
▽アクリル板や二酸化炭素の濃度を測定するセンサーの設置などが求められています。

「見回り隊」は初日の5日、大阪 梅田の飲食店を中心に巡回しました。
このうちJR大阪駅前の商業ビル内の居酒屋では、店長から聞き取りをしてすでに実施している感染防止策を確認しました。

そのうえでマスク会食の徹底やアクリル板の設置など大阪府の要請内容に関するチェックリストを手渡し協力を呼びかけました。

店長の竿山丈士さんは「呼びかけを受けて二酸化炭素の濃度を測定するセンサーを導入しました。一方、アクリル板はどこも売り切れで取り寄せているところです。酒類の提供が午後7時までで経営はかなり苦しいですが、感染防止のためしかたがありません。いただいたチェックリストをもとに対策を徹底したいです」と話していました。

大阪府と大阪市によりますと対象となる飲食店はおよそ4万軒で、府と市は今後、民間にも委託して態勢を強化し、重点措置の適用期間中にすべての店舗をまわることにしています。

<尼崎>すし店「どうしたらいいかわからない…」

兵庫県内では神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市の4つの市の飲食店などに営業時間を夜8時までとするよう要請されていて、尼崎市内の商店街でおよそ70年続くすし店では店主から不安の声が聞かれました。
この店の通常の営業時間は夕方から午前2時までですが、これまでも営業時間の短縮に応じていて厳しい状況が続いているといいます。

店主の道口伸吾さんは「正直どうしたらいいかわからないです。時短要請の内容がころころ変わって言われるがまま対応してきましたが、夜の8時までだと仕事終わりのお客さんはゆっくり来ることができませんし、ほかの自治体では9時まで開いてるのでそこに流れてしまうかもしれないのでしんどいです」と話していました。

<大阪>アクリル板届かず 休む店も

大阪市内の飲食店ではアクリル板の設置が追いつかず営業を見合わせる店も出ています。
このうち大阪 ミナミにある日本料理店ではこれまで検温や換気を徹底するなどしてきましたが今回、府がアクリル板の設置などを強く呼びかけていることを受けて4日、アクリル板をインターネットで急きょ購入しました。
しかし商品はまだ届かず、このままでは営業できないと判断したといいます。

店では、アクリル板をテーブル席の仕切りに使ったりカウンター席に置いたりして営業を再開したいと考えていますが、府から対策の具体的な内容が示されておらず要請を満たしているかどうか不安に感じているといいます。

また、府から要請されている二酸化炭素の濃度を測定するセンサーも購入したいと考えていますが、ネットで探しても売り切ればかりで入手のめどは立っていないということです。
日本料理店「新浅草」の店主、大森達哉さんは「要請はできるだけ守りたいがアクリル板やCO2センサーの設置を急に求められてもすぐにはそろわない。どこまで対策すればいいのか具体的に示してほしい」と話していました。

大阪府 吉村知事 要請順守か確認 認証制度も

大阪府の吉村知事は営業時間の短縮やマスク会食などへの協力を改めて呼びかけたうえで、こうした要請が大阪市内の飲食店で守られているか確認し、守られていれば認証する制度を創設する考えを示しました。

大阪市内では飲食店の営業時間を夜8時までに短縮することなどが要請されていて、大阪府の吉村知事は記者団に対し「マスク会食の義務化のほかアクリル板の設置、換気の徹底なども飲食店にはお願いしたい」と改めて呼びかけました。

そのうえで「きょうから『見回り隊』を編成して数万の飲食店を個別にチェックする」と述べ、要請が大阪市内のすべての飲食店で守られているか確認し、対策を徹底している店舗にはステッカーを発行するといった認証制度を創設する考えを示しました。

また、府内の感染状況について吉村知事は「感染拡大が非常に速く医療体制もひっ迫している。重症病床の使用率が70%に達したら『大阪モデル』で赤信号をつけることになる」と述べ、近いうちに独自の指標「大阪モデル」で赤信号が点灯し、府として医療の非常事態宣言を出す可能性があるという認識を示しました。

大阪市 松井市長「協力を」

大阪市の松井市長は飲食店などの営業時間の短縮やマスク会食などへの協力を改めて呼びかけました。
大阪市内では飲食店の営業時間を夜8時までに短縮することなどが要請されていて、松井市長は記者団に対し「マスクをすることや飲食店内にパネルを設置することでリスクが軽減される。医療崩壊を起こさないためにも、ぜひとも協力いただきたい」と述べ、営業時間の短縮や4人以下でのマスク会食などへの協力を改めて呼びかけました。

<宮城県> “重点措置”適用で…

宮城県内では5日夜から来月6日の朝まで、飲食店などに対する営業時間の短縮を仙台市内から県内全域に拡大して要請します。仙台市内での営業は午後8時までとし、仙台市以外では午後9時までとするよう要請します。

このほか県は、仙台市内の運動施設や映画館、遊興施設などについても営業時間を午後8時までとするよう協力を求めることにしています。

<仙台>飲食店 夕食用メニューの提供時間早める

仙台市中心部の飲食店は少しでも売り上げを確保しようと、夕食用のメニューの提供時間を早める対応を取っています。
仙台市中心部にあるカフェレストランでは「まん延防止等重点措置」の適用に伴って5日から午後8時に閉店することを知らせる紙を入り口に貼りました。

この店は新型コロナウイルスの感染が広がりだした去年春からテイクアウトやデリバリーに力を入れてきましたが、売り上げは低調で先月はおととしの同じ時期の半分程度だったということです。
店を運営する「ハミングバード・インターナショナル」の青木聡志社長は「状況が状況なのでしかたないと思っていますがアルコールの提供は午後7時までなので夜の営業はほとんどできないと考えています」と話していました。
こうしたことから店は、少しでも売り上げを確保しようとふだんは午後5時から提供している夕食用のメニューを午後2時から始めることにしました。

青木社長は「この状況がいつまで続くのか非常にやきもきするし落胆することもありますが、何とかふんばらなければと思っています」と話していました。

<仙台>県職員 店の感染対策確認

宮城県では県の職員が店を見回って感染対策が十分かどうか確認しました。

「まん延防止等重点措置」の適用に伴って宮城県は
▽仙台市内は原則すべての飲食店で酒類の提供は午後7時まで、営業は午後8時までとし
▽仙台市以外はカラオケ店を含む「酒類を提供する店」と「接待を伴う店」で午後9時までの営業とするよう要請します。

また、重点措置の対象となる仙台市内の店ではマスクの着用やアクリル板の設置など感染対策の徹底が求められ、従わない場合、過料が科されることもあります。
県は早速、職員による飲食店の見回りを始め、このうちJR仙台駅前のホテル内にある和食店には職員が5人が出向き
▽営業時間の短縮に応じているかや
▽店内の換気や座席の間隔を確認していました。
ホテルの林健一 総支配人は「休業を決めた店もあり厳しい状況だが一刻も早い収束のため要請をしっかり守りたい」と話していました。

また、県の食と暮らしの安全推進課 千田恵課長補佐は「対策を再確認してもらい十分でない場合はすぐに改善してほしい」と呼びかけていました。

<仙台>歌声喫茶は営業休止 常連客の孤立も懸念…

仙台市の歌声喫茶は営業を続けるのが難しくなり、通っていた高齢者たちの孤立が進むのではないかと懸念しています。
仙台市にある歌声喫茶「うたごえの店バラライカ」は昭和の流行歌などを合唱する憩いの場で、60代から90代までのおよそ30人の常連客が通っていました。店は7年前からホテルの宴会場を借りて週3回、歌声喫茶を営んできました。

店内ではステージと客席を透明なシートで仕切りマスク着用で歌うなど感染対策をとっていましたが、売り上げの減少に歯止めがかからず先月下旬に営業を休止しました。
南部敏郎さん(店を創業)
「コロナ禍の中で高齢の人たちに心の健康という意味で歌を歌って幸せな気持ちを抱いてもらう役割を果たしてきた。通っていた人たちが人と交われなくなる影響を心配しています」

宮城県 村井知事「1日も早く収束へ」

宮城県の村井知事は記者会見で1日も早く収束させるため全力で取り組む考えを示しました。
宮城県内では5日夜から来月6日の朝まで飲食店などに対する営業時間の短縮を仙台市内から県内全域に拡大して要請するほか、仙台市内での営業は午後8時まで、仙台市以外では午後9時までとするよう要請します。

村井知事は記者会見で「いよいよきょうから適用となる。全国では初めての事例だ。1日も早く収束させるために全力で取り組んでいくので協力をお願いしたい」と述べました。

3府県の感染者数は?

5日に3府県で新たに確認された感染者数です。
▽大阪府は341人で月曜日としてはこれまでで3番目に多く、東京の感染者数を7日連続で上回りました。▽兵庫県は87人▽宮城県は55人でした。