仏 変異ウイルス拡大 外出・営業の制限全国に 学校も閉鎖へ

フランスでは変異した新型コロナウイルスの感染拡大が続いているため、マクロン大統領は住民の外出や小売店の営業を制限する措置を全国に広げるほか、これまで対面での授業を続けてきた学校の閉鎖にも踏み切ると発表しました。

フランスでは新型コロナウイルスの変異ウイルスの感染が拡大し3月31日の感染者数が5万9000人を超えたほか、5000人以上が集中治療室で治療を受けていて医療現場からは対策の強化を求める声が上がっています。

マクロン大統領は31日夜、テレビ演説を行い「変異ウイルスの感染の広がりは場所を問わず速く入院患者も増えている」と述べ、より若い世代にも感染が広がっているという認識を示しました。

そのうえでパリや北部の地域などで行っている住民の外出や小売店の営業を制限する措置を今月3日の夜から全国に広げ4週間にわたって行うと発表しました。全土での外出制限は去年の春と秋に続いて3度目となります。

また、これまで対面での授業を続けてきた学校についても今月5日から3週間にわたって閉鎖するとしています。

一方でワクチンの接種を加速させることで来月中旬には段階的に規制を解除させたい考えも示しました。

ワクチン接種加速へ

フランス政府は今月から国内の100か所以上に大規模な接種会場を設け、ワクチン接種を加速させることにしています。

フランスではこれまでにワクチンを少なくとも1回接種した人は国民の11%ほどで、46%を超えているイギリスに比べて大きく遅れているなどとして政府を批判する声も上がっています。

このためマクロン政権は国内に新たに100か所以上の大規模な接種会場を設ける計画で31日、会場の一つとなるパリ近郊のサッカースタジアムがメディア向けに公開されました。スタジアム内のイベント会場では受付や接種のためのブースを設営する作業が行われていました。

また、スタジアムには接種の予約を受け付けるコールセンターも設置されることになっていて、この会場だけで1週間に1万人に接種する計画です。

フランス全体では今後、来月半ばにおよそ30%の国民が少なくとも1回接種することを目指しています。

マクロン大統領は31日のテレビ演説で「われわれは祝日も週末も平日と同じように休むことなくワクチンを接種するためにあらゆる措置をとる」と述べ、ワクチン接種を加速するために全力を尽くす考えを示しました。

マクロン政権としては接種を加速させることで感染に歯止めをかけるとともに、観光や飲食業など大きな打撃を受けている経済の再開にも道筋をつけたい考えです。