職員深夜飲食問題 厚労相謝罪 処分検討「常識では考えられず」

厚生労働省の職員23人が、都内の飲食店で深夜まで送別会を開いていた問題について、田村厚生労働大臣は「国民に生活の制約をお願いしながら、信用を裏切り申し訳ない」と謝罪し、早急に関係者の処分を検討する考えを示しました。

厚生労働省で介護保険などを担当している老健局の職員23人は、今月24日、都内の飲食店で開かれた送別会に参加し、一部の職員は、深夜0時近くまで店に残っていました。

これについて田村厚生労働大臣は、記者団に対し「23人という非常に多い人数で、常識では考えられない。国民に日頃、生活の制約をお願いしていながら信用を裏切る形になりおわびを申し上げる」と謝罪しました。

そのうえで「国民があきれて『厚生労働省もやっているのだから、やってもよい』とならないようしっかり綱紀粛正をしたい」と述べ、早急に関係者の処分を検討する考えを示しました。

また、同様のケースがないか速やかに調査する方針も明らかにしました。

東京都は緊急事態宣言が解除されたあとも、来月21日まで飲食店の営業時間を午後9時まで短縮するよう求めていて、菅総理大臣も「歓送迎会などの季節となるが、大人数での会食は控えていただきたい」と呼びかけていました。

加藤官房長官「正直言っていったい何をやっているんだと」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「話を聞いたときに、正直に言って、いったい何をやっているんだという思いを強く持った。国民に対し『会食は、できるだけ家族で、または4人以内でお願いします。これから卒業式、入学式、歓送迎会などの季節になるが、大人数の会食はお控えいただくようお願いします』と呼びかけをした中で、まさに新型コロナウイルス感染症対策を担う厚生労働省で、こうした事案が行われたことは大変遺憾だ」と述べました。

西村経済再生相「感染広がった経験を絶対忘れてはいけない」

西村経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「大変遺憾だ。去年、3月と4月の行事が多い時期に感染が拡大し、緊急事態宣言を発出した経験や12月に忘年会や飲み会で急激に感染が広がった経験を絶対に忘れてはいけない。飲食は大人数、長時間は控えて、家族か4人以下にし、アクリル板のある換気のいい店を選び、会話の時はマスクをすることも含め徹底した対策をお願いしたい」と述べました。

参院厚労委員長「極めて軽率な行動」

厚生労働省の職員が大人数で深夜まで飲食をしていた問題について、参議院厚生労働委員会で、小川委員長は「感染予防を呼びかける立場で、極めて軽率な行動と言わざるをえない」と厳しく注意しました。

この中で田村厚生労働大臣は「東京都が時短営業を要請している中、深夜0時前まで大人数で飲食をしており、大問題だ。国民の信用を失う行為であることは間違いなく、厚生労働大臣として、十分に指導ができていなかったことを、改めておわびする」と謝罪しました。

これに対し、自民党の小川克巳委員長は「新型コロナウイルス対策の中心的役割を果たし、感染予防を呼びかける立場で、極めて軽率な行動と言わざるをえない。厚生労働省には猛省を促すとともに、一部の職員の行動として済ますのではなく、組織としてどうしなければならないか、しっかり考えてほしい」と厳しく注意しました。

自民 二階幹事長「しっかり反省し対処を」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「役所の皆さんには、普通の標準的な常識があるだろうから、しっかり反省して対処してもらいたい。特別に処分が必要とまでは考えていないが、反省のいかんによって考えていかなければならないだろう」と述べました。

自民 森山国対委員長「極めて遺憾」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「厚生労働省内で注意喚起がされているにもかかわらず、大人数で深夜まで会食していたことは極めて遺憾だ。コロナ禍では許されることではなく、十分な反省を求め、処分もしっかり対応してもらいたい。国会の審議に影響がないよう、引き続き努力しなければならない」と述べました。

自民 世耕参院幹事長「怒りに震えた」

自民党の世耕参議院幹事長は、記者会見で「はっきり言って怒りに震えた。国民に大変な不便をかけながら、感染拡大防止に協力をいただいている中で看過できず、断固とした処分を求めたい。送別会の参加者の中で指導的立場にある人間は、もう職務遂行不可能ではないか。厚生労働省にはしっかりけじめをつけてもらいたい」と述べました。

公明 山口代表「わが耳を疑うぐらいびっくり」

公明党の山口代表は、記者会見で「わが耳を疑うぐらいびっくりした。国を挙げて新型コロナの対応をとり、外出自粛などを国民にお願いする立場の政府の中で、最大の任務を担っている厚生労働省の職員がルールを超えて大人数で深夜まで飲食していたことは考えられない。厳正な対応を望みたい」と述べました。

立民 共産 国民 厚労相の監督責任ただす方針確認

厚生労働省の職員23人が、都内の飲食店で深夜まで送別会を開いていた問題について、立憲民主党、共産党、国民民主党の野党3党の国会対策委員長らが会談し、国民に自粛を求める側として言語道断の行動で、監督者の責任も問われる事態だとして、田村厚生労働大臣の監督責任もただしていく方針を確認しました。

立民 枝野代表「適切な責任とらないと国民に示しつかない」

立憲民主党の枝野代表は、党の常任幹事会で「感染症の対応の中心になり、国民や飲食店にもさまざまな無理をお願いしている厚生労働省の官僚の行動であり、しかも1人や2人ではなく、深刻に受け止めなければならない。しっかりと全貌を明らかにし、適切な責任をとってもらわないと国民に示しがつかない」と述べました。

立民 安住国対委員長「誰も政府を信用しなくなる」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「厚生労働省は『大人数や長時間の会食をやめてください』と自粛を求め、われわれは、それを守ってやってきた。呼びかけている側の自分たちが、それを破っていたら誰も政府を信用しなくなる。田村厚生労働大臣も、気楽に部下を処分しますと言っているが、あなたの責任はどうなのかということだ」と述べました。

小池知事「店の方々が客に『もう時間です』とは言いにくい」

東京都の小池知事は都庁で記者団に対し「深夜まで行われていたということだが、感染防止対策として協力いただきたい。今は歓送迎会のシーズンだが、処分されることを考えれば、自分事として捉えていただきたい。店の方々が盛り上がっている客に『もう時間です』とは言いにくいものだと改めて思った」と述べました。