【得点詳細】世界フィギュア 鍵山2位 羽生3位 宇野4位

フィギュアスケートの世界選手権は27日、男子シングル後半のフリーが行われ、17歳の鍵山優真選手が初出場で2位に入りました。羽生結弦選手は3位でした。

北京五輪 出場枠「3」を獲得

スウェーデンのストックホルムで無観客で開かれたフィギュアスケートの世界選手権は27日、男子シングル後半のフリーが行われました。

前半のショートプログラムで2位につけた鍵山選手は、緑の衣装を身につけて演技に臨み、冒頭の4回転サルコーと、続く4回転からの連続ジャンプを成功しました。演技後半は3回転の連続ジャンプなどで着氷が乱れましたが、ステップと3つのスピンすべてで最高評価のレベルフォーを獲得する安定した滑りを見せました。

鍵山選手はフリーで190.81をマーク、前半との合計は291.77で、初出場で2位に入りました。初出場の世界選手権で2位に入った17歳の鍵山選手は「結果はすごくうれしい。表彰台をねらって練習してきて、その努力が実った。完全にではないが、自分が出せる実力は出せた」と振り返りました。

そのうえで「演技ではミスもあったので、早く練習したい。世界選手権では自分に足りない部分がたくさん見つかったのでそこを練習したい」とさらなる成長に向けて意欲を口にしました。また来シーズンに向けては「この試合でよい結果が出せてもオリンピックで上位を狙えるかは分からない。ほかの選手も練習してうまくなると思うのでそれに負けないように成長したい。まずはオリンピックへの出場を決めてそのうえで上位をねらっていきたい」と話していました。

一方、ショートプログラムでトップに立った羽生選手は、冒頭の4回転ループで大きくバランスを崩したほか、その後もジャンプの着氷が乱れるなど精彩を欠き、前半との合計289.18で3位でした。

前半で6位だった宇野昌磨選手は、277.44で2つ順位を上げて4位でした。

大会には来年の北京オリンピックの出場枠がかかっていて、日本は、前回のピョンチャンオリンピックに続き、この種目3つの出場枠を獲得しました。

優勝は、5本の4回転ジャンプを決めるなどほぼミスのない圧倒的な演技を見せたアメリカのネイサン・チェン選手で、320.88の得点で前半3位から逆転して大会3連覇を達成しました。

総合順位

1位 ネイサン・チェン(アメリカ)得点:320.88(SP3位/フリー1位)
2位 鍵山優真(日本)得点291.7(SP2位/フリー2位)
3位 羽生結弦(日本)得点289.18(SP1位/フリー4位)
4位 宇野昌磨(日本)得点277.44(SP6位/フリー3位)
5位 ミハイル・コリヤダ(FSR)得点272.04(SP4位/フリー5位)
6位 キーガン・メッシング(カナダ)得点270.26(SP5位/フリー6位)
7位 ジェイソン・ブラウン(アメリカ)得点262.17(SP7位/フリー8位)
8位 エフゲニー・セメネンコ(FSR)得点258.45(SP10位/フリー7位)
(※FSRはロシアフィギュアスケート連盟)

鍵山 課題のフリーで成長見せる

初出場の世界選手権で2位に入った鍵山優真選手。今シーズン課題としてきたフリーで完成度の高い演技を見せたことが躍進につながりました。

鍵山選手は2月、振り付け師のローリー・ニコルさんとオンラインでの練習に臨み、数か所に絞ってフリーの振り付けを見直しました。そのうちの1つがフリーの2つ目の4回転ジャンプである4回転トーループへのつなぎの動きです。ジャンプに向けてスピードを上げる必要がある一方で、壁ぎわを滑るコースやステップの難しさに気を取られ、ジャンプに集中できず、ミスにつながっていました。

このような細かな課題の1つ1つを修正したことで、鍵山選手は「自由に滑られるようになった。フリーの完成度は高くなっていて早く皆さんに見せたい」と自信を深めていました。

そして今大会、鍵山選手は修正したポイントである4回転トーループからの連続ジャンプを見事に成功させて流れをつかみました。さらに2位という結果とともに、フリーで課題の部分を克服した演技ができたことにも自信を深めていました。「世界選手権では足りない部分もたくさん見つかったのでそこを練習したい」と大会終了後、すぐに新たな課題に取り組む意欲を示した鍵山選手。伸びしろ十分な17歳、オリンピックをかけた来シーズンの成長も注目されます。

羽生「悔しいが収穫もあった」

フリーでジャンプに精彩を欠き、3位だった羽生結弦選手は「すごく疲れた。なるべく転倒しないように頑張ることができたが、1つ1つ全く自分らしくないジャンプが続いたので、大変だった。全てがうまく波に乗れなかったし、自分が一番点数を取りたい出来栄え点が全く取れたかった」と振り返りました。

そして「悔しいが収穫もあった試合だ。全体を通して細かいミスですべておさえられていることは自力がついたのではないかと思う。次の機会があればしっかりそこでいい演技をしたい」と淡々と話しました。

そして自身の最大の目標と話す4回転アクセル、4回転半ジャンプの習得について、「この試合に向けてかなり練習をしてきた。着氷しているわけではないが、今までの中で一番、4回転半というジャンプらしくなってきたものがけっこうあったので、来シーズンに向けてしっかり練習したい。早く4回転半を練習して誰よりも早く4回転半を公式戦で決める人間になりたい」と改めて意欲を示しました。

また来シーズンについては新型コロナウイルスの感染対策を念頭に「今シーズンより良くなっていることを祈る。新型コロナウイルスについてわかっていることは増えているので、対策しながら過ごしていけるようにということを大切に思いたい。フィギュアスケーターは氷上で練習しないといけないので、氷に乗れていることや家族やいろいろな方が健康でいられる大切さ、ありがたさを感じながら、次のシーズンに向けて過ごしたい」と話しました。

また、東日本大震災から10年となったことに関連した質問には「震災から10年はかなり自分の中では大きい。自分自身が被災したときはかなりつらい思いをした。ただ僕以上につらい思いをしている方々、または本当に今も大変な思いをしている方々、今も苦しみながら前に進んでいる方々がたくさんいる。それはもちろん自分にとって大切なことで、これからも胸に刻んでもし自分に何かできるのであればそれを使命感とともにできることをやっていきたい」と話しました。

さらに、来年の北京オリンピックについて「僕自身もオリンピックについていろいろと考えることはある。いい思い出も悪い思い出もよかったところも悪かったところもたくさんある。それがあったからこそ成長してきたと思う。またこれからどういう経験があるかわからないし、これからどういうふうに世界の情勢が変わっていくか分からないが、またベストを尽くしてオリンピックがくることを心待ちにしたいと思う」と話していました。

宇野「今の調子ではベスト」

4位の宇野昌磨選手は「スイスで練習しているときに比べてジャンプの調子がよくなかった。きょうの演技は決してよいものではなかったが今の調子でいけるベストだった」とフリーの演技を振り返りました。

また練習拠点をスイスに移してからの2シーズンについて、「成長したと思える部分はない。今の自分に満足していたのがことしの自分だった。ただ去年の全日本選手権に出たことで、もっと成長しないといけないとも感じたので、成長できたというよりも気付かされたことのほうが大きかった」と話していました。

ネイサン・チェン「一生忘れない」

大会3連覇を果たしたアメリカのネイサン・チェン選手は「これまででベストとは言わないが、ここスウェーデンでこのプログラムを滑れたことを一生忘れないと思う。今は来シーズンを楽しみにしている。自分を高めるためのチャレンジをしたい」と話しました。

また北京オリンピックで勝つために、必要な4回転ジャンプの種類や本数を問われると、「過去のオリンピックで8本のジャンプを跳ぼうとして結局、5位になった。勝つために数多くの4回転を跳ばなければならないという考えは違う。ただ、ほかの選手がどうするかなどにもよるので断言するのは難しい。羽生選手にも4回転アクセルがある」と答えていました。

そのうえで羽生選手の存在については「きょうは思いどおりの演技ができなかったようだが、それでも彼の存在は大会のレベルを上げる。その場の雰囲気を変える選手であり、レジェンドだと思う」と話していました。

フリー得点詳細

フリー1位 ネイサン・チェン【得点:222.03】

▽技術点(小計:125.89)
4回転ルッツ:15.44、
4回転フリップ+3回転トーループ:18.19、
3回転ルッツ:7.67、
4回転サルコー:12.89、
足換えキャメルスピン:4.16(レベル4)
足換えコンビネーションスピン:4.60(レベル4)
ステップシークエンス:5.40(レベル4)
4回転トーループ+シングルオイラー+3回転フリップ:19.14、
4回転トーループ+3回転トーループ:17.92、
3回転アクセル:10.63、
コレオシークエンス:5.00、
フライング足換えコンビネーションスピン:4.85(レベル4)

▽演技構成点(小計:96.14)(※各項目に2.0を掛けて計算)
スケートの技術:9.61
演技のつなぎ:9.46
演技表現:9.71
振り付け:9.61
音楽の解釈:9.68

フリー2位 鍵山優真【得点:190.81】

▽技術点(小計:102.39)
4回転サルコー:12.33
4回転トーループ+3回転トーループ:16.96
3回転フリップ:6.21
4回転トーループ:13.03
フライングキャメルスピン:4.11(レベル4)
コレオシークエンス:4.21
3回転アクセル+シングルオイラー+3回転サルコー:15.34
3回転ルッツ+3回転ループ:10.62
3回転アクセル:6.51
ステップシークエンス:4.90(レベル4)
フライング足換えシットスピン:3.77(レベル4)
足換えコンビネーションスピン:4.40(レベル4)

▽演技構成点(小計:88.42)(※各項目に2.0を掛けて計算)
スケートの技術:8.93
演技のつなぎ:8.71
演技表現:8.89
振り付け:8.89
音楽の解釈:8.79

フリー3位 宇野昌磨【得点:184.82】

▽技術点(小計:94.90)
4回転サルコー:7.48(4分の1回転不足)
4回転フリップ:13.20
4回転トーループ:5.02(4分の1回転不足)
3回転アクセル:7.20
フライングキャメルスピン:3.84(レベル4)
4回転トーループ+2回転トーループ:13.64
3回転サルコー+3回転トーループ:9.35
3回転アクセル+シングルオイラー+3回転フリップ:16.32
ステップシークエンス:5.18
フライング足換えコンビネーションスピン:4.55(レベル4)
コレオシークエンス:4.57
足換えコンビネーションスピン:4.55(レベル4)

▽演技構成点(小計:89.92)※各項目に2.0を掛けて計算
スケートの技術:9.14
演技のつなぎ:8.75
演技表現:9.00
振り付け:9.07
音楽の解釈:9.00

フリー4位 羽生結弦【得点:182.20】

▽技術点(小計:89.78)
4回転ループ:9.45
3回転サルコー:5.54(4分の1回転不足)
3回転アクセル:7.31
3回転ループ:5.81
フライング足換えコンビネーションスピン:4.35(レベル4)
ステップシークエンス:5.18(レベル4)
4回転トーループ+3回転トーループ:17.24
3回転トーループ+シングルオイラー+3回転サルコー:17.49
3回転アクセル:4.22(※2回目の同じジャンプ。基礎点×0.7)
コレオシークエンス:4.79
フライング足換えキャメルスピン:3.90(レベル4)
足換えコンビネーションスピン:4.50(レベル4)

▽演技構成点(小計:92.42)※各項目に2.0を掛けて計算
スケートの技術:9.39
演技のつなぎ:9.25
演技表現:9.04
振り付け:9.32
音楽の解釈:9.21