ワクチン接種 アナフィラキシー 約12000回に1件の割合 厚労省

新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は、これまでにおよそ1万2000回に1件の割合で、重いアレルギー反応の「アナフィラキシー」が報告されていることを明らかにしました。厚生労働省の専門家部会は「安全性に重大な懸念は認められない」としています。

ファイザーのワクチンは先月17日に国内の医療従事者への接種が始まり、厚生労働省によりますと、今月21日までに57万8800回余りの接種が行われました。

厚生労働省は26日開いた専門家部会で、医療機関から「アナフィラキシーの疑いがある」と報告された事例を国際的な評価指標で分析した結果、アナフィラキシーに該当したのは47件だったと明らかにしました。

およそ1万2300回に1件の割合で、2回目の接種で症状が出た人もいたということです。

また、今月19日に接種を受けた26歳の女性が、脳出血などを起こして死亡していたことも報告されました。

亡くなったのは接種の4日後と見られ、専門家部会は接種との因果関係について「より詳細な情報が必要で現時点で評価できない」としたうえで「ワクチンの安全性に重大な懸念は認められない」としています。

厚生労働省は、来月12日から高齢者への接種が始まるのを前にアナフィラキシーが起きた場合は速やかに医療機関に搬送できるよう、自治体などに体制の整備を求めることにしています。

アナフィラキシー 診断の条件は

厚生労働省の専門家部会でアナフィラキシーの評価に使用されているのが「ブライトン分類」と呼ばれる国際的な指標です。

まず、アナフィラキシーと診断する上で条件としているのが
▽突然の発症▽症状などの急速な進行▽複数の臓器に症状が出ていることの3つです。

その上で、皮膚や粘膜、循環器、呼吸器、消化器などに一定の症状が見られた場合、症状の種類や程度に応じて最も重い1から5段階のレベルに分類します。

このうちレベル1から3までがアナフィラキシーに該当するとされ、レベル4は「十分な情報が得られていないため判断できない」
レベル5は「診断の条件を満たしておらず、アナフィラキシーではない」とされています。

海外と開き「単純比較できず」

厚生労働省によりますと、先月17日から今月21日までにファイザーのワクチンの接種を受けた医療従事者について分析した結果、アナフィラキシーに該当する症状が確認されたのは接種100万回あたりで81件でした。

一方、アメリカは4.7件、イギリスは19.4件で、いずれも日本と開きがありますが、厚生労働省は、「報告の基準などが異なることから単純な比較はできない」としています。