聖火リレー初日 火が消える事態も「順調にいった」 大会組織委

25日福島県をスタートした東京オリンピックの聖火リレーの初日の行程が終わったことを受け、大会組織委員会が会見し、「順調にいったと評価している。大きな問題はなかった」と振り返りました。

東京オリンピックの聖火リレーは25日午前9時半すぎ、東日本大震災の被災地、福島県の「Jヴィレッジ」をスタートしました。

リレーの途中、トーチの火が消えたため再点火するトラブルはあったものの、福島県内の10の市町村を100人のランナーが走って午後5時すぎに初日のすべての行程を終えました。

このあと組織委員会が都内で会見し、武藤事務総長は、「1年を経て、時間が再び動き始めたという感じで大変うれしく思う。運営面では順調にいったと評価しているし、時間も予定どおりにいった。大きな問題はなかった」と初日を振り返りました。

組織委員会では、新型コロナの対策として沿道では密集を避けて観覧することを呼びかけていますが、武藤事務総長は、「JRいわき駅前の沿道に観覧する人がいたことは把握しているが、前後左右の十分な距離を確保できず、複数の列に折り重なるという密の状態にはなっていなかった」と説明しました。

ただ、25日の沿道の中には「ランナーと併走する人や危険な行動も見られたので注意の声かけは行った」と述べました。

また、トーチの火が消えたトラブルについては、「原因は究明中だが、このようなことが起こることを想定して、常にランタンに入れた予備の火を同行させている。手順に従ってすぐに火をつけてそのまま続行されているので特段の問題はない」と話しています。

中京大 來田教授「社会の構えが試される場に」

オリンピック・パラリンピックの理念や歴史に詳しく、今月、新たに大会組織委員会の理事に就任した中京大学の來田享子教授は「聖火リレーのランナーにとっても関係者にとっても大変な緊張が必要とされる121日間になり、感染対策はもちろん重要ですが著名人の辞退や自治体間の温度差もある中で、社会の構えが試される場になると思います。機運の醸成には、聖火リレーだけではなく、本来はジェンダー平等やダイバーシティーの推進など、よりよい社会を作ろうというムーブメントが、最も大切な要素になりますがまだまだ足りていないと思います」と指摘しています。

聖火リレーの意味や歴史について來田さんは、「聖火リレーは、1936年のベルリン大会から始まりましたが、幸福や平和を願う純粋な思いと人々が集まることを政治的に利用する意図が絡み合ってきました。古代ギリシャの時代から、火は人々に温かい暮らしをもたらす幸せな生活の象徴的な存在であると同時に戦いの道具でもあったように、オリンピックの歴史では、聖火のトーチにはその社会における科学の扱いを象徴するような側面もあります。個人と社会の幸福のために聖火をつなぐのか、政治的な道具にしてしまうかは私たち次第だと思います」と話しています。

そのうえで今後、求められることとして、「なぜ東京大会をやるのか、開催も中止もそれぞれの根拠と結果の予測に基づく対話が必要になりますが、コロナの中でそれが成り立っているとは言えない状況があります。その中で開催ありきで進んでいるという批判もある。無観客で行うなど開催の方法もいろいろあるので、感染対策の面ではどうか、オリンピックムーブメントの面ではどうかと、多角的に判断できるよう、組織委員会としてもプロセスも含めて判断材料を示していく必要があると思います」と話していました。