宮城 感染急拡大“改善なければ まん延防止等重点措置も”知事

新型コロナウイルスの感染が宮城県内で急速に拡大していることについて、村井知事は「危機的な状況で一気に抑え込む必要がある」と述べ、県などの独自の取り組みで感染状況が改善しなければ、より集中的な対応を可能にする『まん延防止等重点措置』の適用を政府に働きかける考えを明らかにしました。

宮城県内では先週以降、1日の感染確認の発表が100人前後の日が続き、20日はこれまでで最も多い125人の発表があるなど感染の急速な拡大がみられます。

これについて村井知事は22日の定例の記者会見で「思っていた以上に速いペースで感染が拡大し、危機的な状況になっている。ここで感染を一気に抑え込む必要がある」と述べました。

こうした状況を受けて宮城県と仙台市は今月18日、独自の緊急事態宣言を出し、今月25日からは仙台市内全域の飲食店などを対象に営業時間の短縮を要請することにしています。

村井知事はまずはこれらの取り組みの効果を見極めるとしています。

そのうえで「厳しいというようであれば国の力を借りて、より厳しい対応を取らざるをえない」と述べ、状況が改善しなかった場合はより集中的な対応を可能にする『まん延防止等重点措置』の適用を政府に働きかける考えを明らかにしました。

一方、村井知事は東京など1都3県で21日、緊急事態宣言が解除されたことの宮城県への影響について「宮城県には独自の緊急事態宣言が出ていることから首都圏方面から観光目的で来る人はあまりいないと思う。人の往来がすぐに増えるとは考えにくいが、3月は転勤などで人の移動が増える時期なので感染が拡大するリスクは一定程度あるだろう」と述べました。

国分町の飲食店では…

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、宮城県が仙台市内全域の飲食店などに営業時間の短縮を要請したことについて、最大の繁華街 国分町の飲食店の経営者からは、2回目の時短要請となり経営が一層厳しくなるなどと不安の声も聞かれました。

飲食店などを対象にした営業時間の短縮の要請期間は今月25日の午後9時から来月12日の午前5時までです。宮城県は、この期間は夜間の営業を、先月まで行った前回の時短要請より1時間前倒しし午後9時までに終えるよう求めています。

要請に全面的に協力した事業者には、
▽県が1日当たり4万円の協力金を支払うほか、
▽仙台市も減収額に応じた独自の支援金を支給することにしています。

仙台市の繁華街、国分町で居酒屋を経営する百武稔さんは「今回要請された終了時間の午後9時は、ちょうど1回転目のお客さんが帰る直前の時間帯で、2回転目のお客さんのために料理をする時間がほとんどない。このため25日からはさらに1時間繰り上げて午後8時までとし、1回転目の客だけの営業に切り替えざるをえないと考えている。すでに売り上げは例年の3分の1になっていて経営が厳しく先行きが不安だ」と話していました。

また、国分町でバーを経営する庄司洋子さんは「時短の要請は予想していた。今回も応じるが、営業の終了が午後9時までと短くなるのでお客さんの希望があれば開始時間をこれまでより3時間以上早い午後4時からにして対応していきたい。店はこれまで2次会以降の客がメインだったが、鍋などを出前でとって1次会も楽しめるような営業の工夫をしてきたい」と話していました。

官房長官「最終的に総合的に判断していく」

加藤官房長官は午後の記者会見で「仙台市を中心に感染が拡大しているものと承知している。西村経済再生担当大臣と村井知事が連絡を取るなど状況の把握や認識の共有化を図っており、政府として県の対策の効果や今後の感染状況などをよく見極めて、連携しながら対応に努めていきたい」と述べました。

一方「まん延防止等重点措置」の適用について「基本的対処方針を踏まえながら最終的に総合的に判断していく」と述べました。

西村経済再生相「強い警戒感持って見ている」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「強い警戒感を持って見ており、村井知事ともかなり頻繁に連絡を取り合っている。病床はひっ迫している状況ではないが、保健所がひっ迫し遅れて病床も埋まってくるので連携を取りながら対応したい」と述べました。

そのうえで営業時間の短縮要請に応じた飲食店に対し、1日あたり4万円の協力金を支払うほか、仙台市による独自の上乗せもあると説明し、要請に応じるよう呼びかけました。

一方、西村大臣は「まん延防止等重点措置」の適用について「営業時間短縮の効果もよく見極めていきたいが、効果が出るのは10日から2週間かかる。その間、手をこまねいて待っているのではなく、分析をしながら、必要ならば『まん延防止等重点措置』を機動的に活用したい。仙台のみならず、首都圏や関西圏でも、兆しをしっかりとつかみながら必要があれば、機動的に活用するという方針で臨んでいきたい」と述べました。