「アビガン」200万人分備蓄へ コロナ治療薬承認審査中 厚労省

新型コロナウイルスの治療薬として承認審査が続いている「アビガン」について、厚生労働省は、計画どおり200万人分の備蓄に必要な量を購入しました。費用は139億円で、厚生労働省は「危機管理の観点から必要と判断した」としています。

「アビガン」は新型インフルエンザの治療薬として開発され、政府は、去年4月、当時、治療薬が限られていた新型コロナウイルスへの効果も期待できるとして、今年度中に200万人分を備蓄する計画をまとめました。

厚生労働省によりますと、ことし1月に富士フイルム富山化学から55万人分を購入し、さらに79万人分を購入する契約を19日付けで結んだということです。

購入費用は合わせて139億円で、すでに備蓄しているおよそ70万人分と合わせて、計画どおり200万人分を確保したことになります。

アビガンをめぐっては、去年12月、厚生労働省の専門家部会が「現時点のデータでは有効性を明確に判断するのが困難だ」として承認の可否の判断を見送り、承認される時期のめどが立っていません。

また、先月下旬までのおよそ1年間に観察研究で使用された量は全国で1万800人分と、計画している備蓄量のおよそ0.5%にとどまり、感染症対策の専門家から計画の再検討の必要性などを指摘する声が出ていました。
厚生労働省は「製薬企業がすでに契約の準備を進めていたことに加えて、感染が拡大している中で危機管理の観点から必要と判断した。承認されれば治療薬として使いたい」などとコメントしています。