1都3県の緊急事態宣言解除へ 諮問委員会が政府方針を了承

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言について、感染症の専門家などでつくる諮問委員会は、期限の今月21日で解除する政府の方針を了承しました。政府は、18日夕方に対策本部を開いて宣言の解除を正式に決定することにしています。

首都圏の1都3県の緊急事態宣言の解除に向けて、政府が感染症の専門家などの意見を聴く諮問委員会は午前7時半から西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣も出席して開かれました。

この中で西村大臣は、1都3県の宣言について、期限の今月21日で解除する方針を諮ったうえで、病床の使用率などの指標について「ステージ3」が確実となっていることや、無症状者へのモニタリング検査の実施など、感染の再拡大防止の取り組みを進めていることなどを説明しました。

そして西村大臣は「新規陽性者の数は、横ばいから微増の傾向を示している。宣言を解除した場合、緊張感が途切れることも考えられる。歓送迎会や謝恩会、花見などでも宴会は避けていただくことも含め、引き続き、感染対策を徹底する必要がある」と述べました。

また田村大臣は「緊急事態宣言はもう2か月半となり、国民に大変な迷惑をかけているが、長引いてくると自粛疲れなどが起こってくる。飲食店を中心とした時短営業などをお願いしてきたが、メリハリをつけた対策が必要になってくるので、国民の意識とバランスを取った対策を提案してほしい」と述べました。

このあと議論が行われた結果、諮問委員会は1都3県の宣言を期限の今月21日で解除する政府の方針を了承しました。

これを受けて、午後には衆参両院の議院運営委員会で、菅総理大臣も出席して事前の報告と質疑が行われ、政府は5時半から対策本部を開いて宣言の解除を正式に決定することにしています。

これによって、ことし1月からおよそ2か月半にわたった宣言はすべて解除されることになり、菅総理大臣は午後7時をめどに記者会見し、解除する理由や今後の対策などについて説明することにしています。

政府は感染の再拡大を防ぐため、引き続き飲食店の営業時間短縮やテレワークの実施などを呼びかけるとともに、無症状者のモニタリング検査を大都市で大規模に行うなど、市中感染の早期探知に努める方針です。

西村経済再生相「警戒感をもっての解除」

西村経済再生担当大臣は、諮問委員会のあと記者団に対し「今月21日をもって緊急事態措置を終了することで了解をいただいた。特段の異論はなく、病床の使用率が安定的に下がり『ステージ3』相当は確実になっているという評価をいただいた」と述べました。

一方で「陽性者の数が微増傾向にあり、今後も流行は起こる。リバウンドが起きるが、大きな流行にせず、医療や公衆衛生、保健所の体制に支障を来さないようにするという、ある意味、警戒感をもっての解除ということだ」と述べました。

そのうえで、西村大臣は「引き続き、国民には、飲食の場面でも、会話をするときにマスクをすることや『3密』を回避するといった基本的な感染症対策の徹底をお願いしたい。1都3県の知事とも連携して取り組んでいく」と述べました。

田村厚労相「いろんな条件付け解除に賛成」

田村厚生労働大臣は、諮問委員会のあと記者団に対し「変異株への対応については、PCR検査の割合を40%まで上げて対応し、病床の確保については、感染拡大の可能性があるため、来月中にも対応するよう各都道府県との調整を指示している。緊急事態宣言が解除されたからと言って、ふだんの生活に戻るという誤ったメッセージにならないよう感染防止へのしっかりとした対応など、いろんな条件をつけて、解除に賛成ということだった」と述べました。

尾身会長「宣言を解除したあとの対策がより重要」

諮問委員会の尾身茂会長は会議のあと、報道陣の取材に対して「メンバー全員が緊急事態宣言の解除に合意した。ただし首都圏はリバウンドが起こる可能性が極めて高く、宣言を解除したあとの対策のほうがある意味ではより重要だ」と述べました。

そして、今後の対策について「リバウンドを防ぎ医療や公衆衛生の体制に今回と同じような負荷がかかる事態を絶対に避ける必要がある。そのために政府や自治体には前回、諮問委員会が示した対策について、迅速かつ確実に実行していくことを求めたい。市民に感染対策の協力をしてもらうためには、まずは国や自治体が汗をかき、いまやるべき対策をしっかり行って結果を出すことが必須の条件だ。諮問委員会の一致した見解として政府対策本部でも申し上げたい」と述べました。

竹森委員「国の力を結集し再宣言の回避を」

経済の専門家として諮問委員会の委員を務める、慶應義塾大学の竹森俊平教授は、記者団に対し「経済的に、よい業種と悪い業種の差が激しく、悪いところをどう助けるかが大切だ。リバウンドは必ず起こるが、夏には東京オリンピック・パラリンピックもあるので、国の力を結集して、もう一度緊急事態宣言を出すことは避けたい」と述べました。

日本医師会 釜萢理事「解除後もしっかり警鐘を」

日本医師会の釜萢敏常任理事は、記者団に対し「解除という言葉のメッセージ性が強いことは共通の認識だ。先月、解除された関西圏では、急激な感染拡大の兆候が見えており、警鐘をしっかり鳴らさなければならない。首都圏が解除されたことで『何でも大丈夫』と誤解されないようにしないといけない」と述べました。

また、釜萢氏は「感染拡大期の在宅医療の提供について、西村大臣から日本医師会に対して協力要請があったので、全力で取り組んでいきたい」と述べました。