抗うつ薬にコロナウイルスの細胞侵入防ぐ効果か 九大など確認

新型コロナウイルスの治療薬について、九州大学などのグループが、すでに実用化されている抗うつ薬の1つにウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ効果があることを細胞を使った実験で確認したと発表しました。

これは、17日、九州大学大学院薬学研究院の西田基宏教授と国立医薬品食品衛生研究所の研究グループが発表しました。

グループでは、実験用の細胞にすでに別の病気の治療薬として使われているさまざまな薬と新型コロナウイルスを一緒に加えてそれぞれの反応を調べました。

その結果、抗うつ薬として使われている「クロミプラミン」と呼ばれる薬を使うとウイルスが細胞に侵入するのを50%程度、抑制できることが確認できたということです。

さらに、別の細胞を使った実験ではこの薬をすでに新型コロナウイルスの治療に使われている「レムデシビル」と併用することで、ウイルスの増殖を99%程度抑制できたということです。

グループでは、今後、動物での実験を行うなど有効性や安全性を検証し、新型コロナウイルスの治療薬として実用化を目指すとしています。
西田教授は「この薬でみられたウイルスの侵入を防ぐメカニズムは、変異ウイルスにも一定の効果が期待できるのではないか」と話しています。