貸し切りバス 運送収入“半分以下に減少”事業者の約9割が回答

緊急事態宣言が続く中、国が貸し切りバスの事業者にアンケートをした結果、運送収入が半分以下に減ったと答えた事業者が、2月は9割近くに上ったことがわかりました。3月と4月も多くの事業者が半分以下の状態が続くと見込んでいるということです。

国土交通省は、新型コロナウイルスによる影響を調べるため、毎月、全国の貸し切りバスの事業者およそ60社に、運送収入の減少割合や見通し、資金繰りなどをアンケートで調査しています。

それによりますと、感染が広がる前の年の同じ月と比較して運送収入が半分以下になったと答えた事業者は2月は87%で、前の月より7ポイント増えました。

業界全体の運送収入の減少額は、2月はおよそ322億円と推計され、去年4月から合わせると推計でおよそ3668億円に上るということです。

国が用意した資金繰りの支援を活用している事業者は90%、雇用調整助成金の給付を受けた事業者は95%に上っています。

また今後の運送収入の見通しについても尋ねていて、半分以下と見込んでいると答えた事業者は、3月は77%、4月は75%に上り、厳しい状況が続く見込みです。

国土交通省によりますと新型コロナウイルスの影響で去年2月から2月までに貸し切りバス事業の廃止を届け出た会社は全国で119社、休止を届け出た会社は78社となっています。

大手バス会社 キャンセル3万3300台余り 損失は約32億円に

緊急事態宣言の解除の見通しが立たない中、貸し切りバス事業者の経営は厳しさが増しています。

およそ200台の観光バスを保有する都内の大手バス会社の一つ、「東都観光バス」です。

新型コロナウイルスによるキャンセルは、去年1月から始まったということで、以来2月までに3万3300台余りに上り、およそ32億円の損失が出ているということです。

棚には、コロナの影響でキャンセルになった契約書が山積みになっています。

3月は、当初、小学校や幼稚園などの卒業イベントの送迎で予約は回復傾向にありましたが、1都3県の緊急事態宣言が延長されたことによりキャンセルが相次いでいます。

3月8日には、149台のキャンセルが入りました。

9日現在で予約の25%にあたる399台、およそ3300万円分がキャンセルになったということです。

さらに、来週以降の予約についても、海外で広がる変異した新型コロナウイルスが国内でも感染が広がっていることや、緊急事態宣言がさらに延長する可能性があるとして、学校の校外学習の送迎などのキャンセルも出始めていて、これまでに173台、2550万円分がなくなるなど、先行きが見通せなくなっています。

国土交通省や業界団体はバスの車両は高い換気性能があるとしていて、会社では、ホームページやチラシなどで、換気や消毒を徹底していることをアピールして少しでも多くの人に理解してもらおうと取り組んでいます。

日本バス協会「我慢の限界 倒産が相次ぐおそれも」

日本バス協会の貸切委員会の副委員長も務める会社の宮本克彦社長は、「業界全体でも影響は今後も続き先が見えない。いよいよ我慢の限界で倒産が相次ぐおそれがある。感染対策を徹底すれば感染リスクはおさえられるので、利用を促していきたい」と話していました。