私立幼稚園連合会 使途不明金3億2500万円 内部調査結果を報告

「全日本私立幼稚園連合会」は9日、都内で全国各地の幼稚園団体の幹部らを集めた会議を開き、使途不明金の総額が少なくとも令和元年度までの3年間で、3億2500万円余りに上るとする内部調査の結果を報告しました。幼稚園連合会は「個人的な流用は断じてしていない」などという香川敬前会長の弁解は極めて不合理だとして、今後、刑事告訴や民事訴訟も視野に断固とした対応を取るとしています。

全国およそ7500の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」をめぐっては、連合会の監査が行われた去年9月以降に、多額の資金が使途不明になっていることが明らかになり、去年11月、香川敬前会長が使途不明金の存在を指摘されたあと辞任しています。

幼稚園連合会は内部に特別委員会を設置し弁護士や公認会計士とともに調査を進めていましたが、9日午後、東京 千代田区で全国各地の幼稚園団体の幹部らを集めた会議が開かれ、調査結果が報告されました。
連合会によりますと、使途不明金の総額は平成29年度から令和元年度までの3年間で、少なくとも3億2594万円に上ることが報告されたということです。

さらに今年度・令和2年度も連合会の口座から8000万円を超える現金が引き出され、使途不明になっていることを確認したということで、使途不明金の総額は少なくとも平成29年度からの4年間で、4億円を超えるということです。

連合会は辞任した香川前会長らが関わって、使途不明金を隠蔽する目的で、実際の残高を大幅に水増しした複数の銀行口座の通帳を偽造していたとしたうえで、香川前会長が監督不行き届きによる法的責任があることを認めて、辞任直後に1億5000万円を弁済したことも明らかにしました。

幼稚園連合会は「個人的な流用は断じてしていない」などという香川敬前会長の弁解は極めて不合理であり、少なくとも私文書偽造罪などに該当する違法行為であることは明らかだとして、今後、刑事告訴や民事訴訟も視野に断固とした対応を取るとしています。

連合会はこのほか、幼稚園の保護者などが加盟する関連団体で河村建夫元官房長官が会長を務める「全日本私立幼稚園PTA連合会」でも、今年度、およそ4000万円が使途不明になっていることを明らかにし、改めて調査を進めるとしています。

田中会長代行「不祥事を起こし痛恨の極み」

会議のあと幼稚園連合会の田中雅道会長代行は報道陣の取材に応じ「連合会は全国の幼稚園からの資金で運営しており、すべての子どもたちのために真摯(しんし)に取り組まなくてはいけない団体がこのような不祥事を起こし痛恨の極みです。大変申し訳ありません」と述べました。

幼稚園連合会の財源は

「全日本私立幼稚園連合会」は、幼児教育の振興を図る目的で昭和59年4月に設立された任意団体で、去年9月時点で全国47都道府県のおよそ7500の私立幼稚園が加盟しています。

幼稚園から集めた会費や寄付金などを主な財源に、おととし10月から始まった幼児教育無償化の実現などの振興策を国や国会議員などに要望していたほか、幼児教育に関する調査や研究、教職員の資質向上や福利厚生などの事業を行っています。

会費は、加盟する幼稚園1園当たり1万2000円に、園児1人当たり70円を加えた額を全国各地の幼稚園団体が「全日本私立幼稚園連合会」の口座にそれぞれ振り込む仕組みになっています。

ホームページで公表されている平成30年度決算の一般会計の収支報告によりますと、事業収入は幼稚園から集めたおよそ1億7500万円の会費など合わせて2億3700万円余りとなっています。

幼稚園団体の関係者「信じられない」

北海道から会議に参加したという幼稚園団体の関係者は「香川前会長はいい人だったので、きょう報告された使途不明金の内容は信じられな思いだ。組織として再発防止を図るしかない」と話しました。

全千葉県私立幼稚園連合会会長「再発防止のため体制を」

9日の会議に出席した全千葉県私立幼稚園連合会の畠山一雄会長は「こんなことが起きるなんて信じられない。これまで報道されていたとおり、多額の金が使途不明になっているという説明を受けたが、動機は何なのか、カネがどこに使われたのか、よく分からなかった。非常に残念ですし納得いかない。再発防止のため体制を見直してほしい」と話していました。

使途不明金4億円の詳細

「全日本私立幼稚園連合会」によりますと、使途不明金の総額は今年度・令和2年度の分も含めると平成29年度からの4年間で少なくとも4億円を超えるということです。

平成29年度~令和元年度

平成29年度から令和元年度までの3年間の使途不明金は合わせて3億2594万円で、一般会計のほか、積み立てていたおよそ1億円の「国際交流基金」、およそ7000万円の「財政運用基金」、およそ6000万円の「災害対策基金」が理事会の承認なしに取り崩され、残高がほぼ無くなっていたということです。

そして、このうち2億9472万円は口座から現金で引き出され、領収書が見つかっていないほか、残りの3121万円は送金記録などから支出先は確認できるものの、必要な手続きをしていないため何の目的に使ったのか分からない状態だということです。

令和2年度

さらに今年度・令和2年度も連合会の口座から8000万円を超える現金が引き出され、使途不明になっていることを確認したということで、関係者によりますと、連日のように口座から現金が100万円単位で引き出されていたということです。

関連団体も使途不明金

このほか、幼稚園の保護者などが加盟する関連団体で河村建夫元官房長官が会長を務める「全日本私立幼稚園PTA連合会」でも、今年度、およそ4000万円が使途不明になっているほか、関連団体で公益財団法人の「全日本私立幼稚園幼児教育研究機構」でも、今年度に不透明な出入金があったことを確認したとしています。

香川前会長は1億5000万円弁済

関係者によりますと、香川前会長は去年11月27日に辞任した際、監督不行き届きによる法的責任があることを認め、辞任の3日後の11月30日に連合会側に1億5000万円を弁済したということです。

また、香川前会長は弁済額を超える損害が確認された場合には、必ず弁済に応じることを明記した書面を提出しているということです。

香川前会長の説明は

香川前会長は今月2日、NHKの取材に2時間以上にわたって応じ「会長として使途不明金を出した管理監督責任があるので辞任したが、口座の管理は事務方が行っており、私自身は1円たりとも資金の流用はしていない。カネが何に使われたのかは全く分からない」と説明しました。

また、連合会側に弁済したとされる1億5000万円については「連合会側から当面の運営資金を入金するよう求められ、自宅を担保にして銀行から借り入れた資金を振り込んだ。ただ、個人的な資金の流用は一切しておらず、運営上必要なお金を一時的に支払っただけで、全容が解明されたら返還してほしいと思っている」と話していました。