参院予算委集中審議 総務省の接待問題や新型コロナなどで論戦

国会では、参議院予算委員会で、菅総理大臣と関係閣僚が出席して集中審議が行われ、総務省の幹部らが衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男などから接待を受けていた問題や、発生から10年となる東日本大震災からの復興、新型コロナウイルス対策などをめぐって論戦が交わされました。

東日本大震災 記憶の伝承

自民党の足立敏之氏は、東日本大震災からの復興について「復旧や復興が進む一方、震災の記憶が少しずつ薄らいできているのも事実ではないか。記憶の伝承が図られるよう、地域に根ざした取り組みを、国としても支えていくことが大事だ」と指摘しました。

これに対し、小此木防災担当大臣は「被災者からの聞き取りをもとに、東日本大震災の教訓集を作成し、各種の防災活動で活用してもらっている。国として、今後も地域に根ざした記憶の伝承の取り組みを支え、地元と連携して防災意識の向上を図っていきたい」と述べました。

総務省 接待問題

立憲民主党の小西洋之氏は、総務省の幹部らが、衛星放送関連会社「東北新社」に勤める菅総理大臣の長男などから接待を受けていた問題について「菅総理大臣の長男が加わると、事務次官級や局長級に接待ができる。総務省の最高幹部を引っ張り出すための『接待要員』だったのではないか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「私は、会社に全く関与していないし、長男と会社の話は全くしていないので『接待要員』が何なのか、答えるべきではない。長男から『申し訳ない』という電話はあったが、それ以外について、総務省のことは話していない」と述べました。

そのうえで、みずからの政治責任を問われたのに対し「国民の信頼を回復し、期待に応えていくのが、私の責任だ」と述べました。

一方、総務省の原官房長は、許認可の決裁を行った幹部が「東北新社」とその子会社から接待を受けた当時、利害関係者と認識していたかどうかについて「『資料が多くて、確認できていなかった』ということだった。私どもは、何度も何度も『知らないはずがない』と申し上げたが『認識していなかった』という答えを繰り返し聞いた」と述べました。

また「東北新社」が、外資規制に違反した状態で子会社に衛星放送事業を継承していたことについて、総務省の吉田情報流通行政局長は、行政として何らかの対応が必要だという見解を示しました。

東京五輪の聖火リレー

公明党の若松謙維氏は、東京オリンピックの聖火リレーについて「多くの被災者は、深い悲しみを乗り越え、大震災10年後の新たなスタートを迎える。その大きな希望が25日の聖火リレーのグランドスタートだ。菅総理大臣にはぜひ出席してもらい、コロナ禍の重い空気を一掃する機会にしてほしい」と要望しました。

これに対し、菅総理大臣は「出席は現在、検討中だ。全国をめぐる聖火リレーは、広く日本中に大会が近づいていることを実感してもらう重要な機会だ。感染症対策を徹底したうえで、希望のともし火として、聖火が全国をめぐることを期待したい」と述べました。

新型コロナ治療薬で「イベルメクチン」の治験は

日本維新の会の梅村聡氏は、新型コロナウイルスの治療薬として、寄生虫が引き起こす感染症の特効薬「イベルメクチン」の治験が進められていることについて「評価が定まっていないが、いま行っている治験をスピードアップするよう菅総理大臣から指示してもらいたい」と要望しました。

これに対し、菅総理大臣は「新型コロナウイルスに使用することも含め、政府としては日本医療研究開発機構の事業などを通じて研究開発を支援しており、さらなるスピードアップに向けて対応を検討させたい。ただ、国民に対して、海外を見て、選択肢を与えることも大事だ」と述べました。

新型コロナ 支援策

無所属で国民民主党の会派の浜口誠氏は、新型コロナウイルスの影響を受けている人への経済対策について「国民の折れそうな気持ちを支え、新型コロナに立ち向かっていく力を高めるため、追加の支援策を講じるべきだ。また、時短要請に応じた事業者への、事業規模に応じた給付金はいつまでに具体化するのか」とただしました。

これに対し、菅総理大臣は「女性の非正規の方や、望まない孤独や孤立で不安を抱えている方々への支援策を、今月中旬には取りまとめたい。ただ、中旬はもうすぐであり、事業規模に応じた給付金は、いろんな問題があって、簡単にはいかないと思う」と述べました。

中小企業への支援

共産党の大門実紀史氏は、中小企業への支援について「ポストコロナを見据えるのなら、中小企業に早く回復してもらわなければいけない。中小企業を、もっと大事にする税制に変えるべきではないか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「中小企業が、それぞれの会社の専門性を高め、連携しながら進めていく、前向きの税制はあるべきだ。中小企業をとうたするのではなく、海外に向けて取り組むことのできる企業に育てていくべきだというのが、私の考え方だ」と述べました。