一度は閉店発表の神奈川のデパート 営業再開できた理由は?

地方や郊外にあるデパートは、人口減少に加え専門店やネット通販などとの競争の激化によって全国で閉店が相次いでいます。こうした中、神奈川県横須賀市のデパートは、去年、閉店を発表しましたが、地元の利用客から存続を求める声が相次いだことを受け、従業員の数や店の規模を縮小するなどして営業を再開しました。

横須賀市にあるデパートの「さいか屋」は、明治5年(1872年)に前身となる呉服屋が創業。昭和3年(1928年)には今のデパートの業態に変わり、神奈川県内に3店舗を構えています。

しかし、人口減少に加え、衣料品などの専門店やネット通販との競争が激しくなる中で、4年連続で赤字になるなど業績の悪化が続きました。

去年2月期の売り上げは、ピークだったおよそ20年前の5分の1にまで減少し、会社は去年5月、横須賀店の閉店を発表しました。
しかし、発表のあと、なじみの客などから「存続してほしい」といった声が相次いで寄せられ、中には店長の原幸夫さんのもとに直接届けられた手紙もありました。

手紙には「閉店と聞いてこれからどうしようと。こんな寂しいことはありません」とか「昔の思い出がつまっていて、何としても続けてほしい」などと存続を切望する気持ちがつづられていました。

再建を模索 採算とること可能と判断

こうした声を受けて、本社とともに再建の道を模索した結果、
▽希望退職者を募って従業員を3分の1ほどに減らすほか、
▽地下1階から6階までの売り場を4階までに縮小し、
▽入居するテナントも見直すことで、
採算をとることは可能だと判断したということです。

原店長は「地域の皆様にとって町のランドマークみたいなものだと思っていただいていたと強く実感した。惜しむ声に甘んじるだけでなく、自助努力をして背水の陣で臨もうと考えた」と話していました。

「二度と閉店発表することなく」

店舗は必要な改装を行うため、先月21日に一度、閉店。

そして、6日午前10時に営業を再開しました。

原店長は、開店前から並んでいた大勢の利用客に「二度と閉店を発表することなく、この地で皆さんとともに永続していきたい」とあいさつしました。

再開にあたっては、
▽客が多く集まる1階にカタログギフトや商品券を扱うサービスカウンターを設けて利便性も高めたほか、
▽通路の間隔を広くしたため、これまでよりもゆとりをもって買い物ができるようになったということです。

売り場をなくし、空きフロアとなった5階と6階は、当面、新型コロナウイルスのワクチンの接種会場として使われる予定だということです。

50年近く店を利用しているという75歳の女性は「若いときから買い物はここにしか来ない、なじみの店なので、再開してくれて本当にうれしく思います」と話していました。

さいか屋横須賀ショッピングプラザの原幸夫店長は「地域の人に生かされたという思いなので、生まれ変わったと思って経営に臨んでいきたい。人口減少といったまちの状況に応じた店作りを心がけて、これからも長く愛される店を目指していきたい」と話していました。