女性の働きやすさ 日本はワースト2位 主要国とどう違うのか

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。イギリスの経済誌「エコノミスト」が女性の働きやすさについて、主要な29か国を評価しランク付けしたところ、日本は下から2番目の順位にとどまりました。

イギリスの 「エコノミスト」は毎年、この日に合わせて、OECD加盟国のうち所得水準などを参考に選んだ29か国を対象に、「女性の働きやすさ」について、男女の労働参加率や給与の差など、10の指標に基づいて評価し、ランク付けしています。

日本は29か国中28位に

日本は
▽企業における女性管理職と、
▽下院にあたる衆議院の女性議員の割合が最も低いなど意思決定の場における女性の数が少ないことなどから29か国中、28位でした。

最下位は韓国でした。

この結果について、エコノミストは「日本や韓国の社会は女性に対して、いまだに家庭を持つかキャリアを追求するかのどちらかで選択を迫っている」としています。

順位は

1位スウェーデン・2位アイスランド・3位フィンランド・4位ノルウェー・5位フランス・6位デンマーク・7位ポルトガル・8位ベルギー・9位ニュージーランド・10位ポーランド・11位カナダ・12位スロバキア・13位イタリア・14位ハンガリー・15位スペイン・16位オーストラリア・17位オーストリア・18位アメリカ・19位イスラエル・20位イギリス・21位アイルランド・22位ドイツ・23位チェコ・24位オランダ・25位ギリシャ・26位スイス・27位トルコ・28位日本・29位韓国

10の指標とは

「エコノミスト」は次のような10の指標に基づいて29か国をランク付けしています。

1.高等教育を受ける男女比率の差。

2.男女の労働参加率の差。

3.男女の給与差。

4.管理職における女性の割合。
       
5.役員における女性の割合。

6.MBA=経営学修士を取得する試験を受けた女性の割合。

7.議会下院もしくは一院制の議会での女性の割合。
     
8.賃金に占める育児費用の割合。

9.女性が取得可能な有給の育児休業期間。

10.男性が取得可能な有給の育児休業期間。

スウェーデンは フランスは ほかの国はどう働きやすいのか

女性が最も働きやすいとされたのが、北欧のスウェーデンで、
▽男女ともに育児休業制度を利用しやすいよう支援体制が整っているほか
▽女性管理職の数が4割を超えているとしています。

去年に引き続き5位となったフランスについては「役員における女性の割合が全体で2番目に高い」としています。

また、アメリカは去年の調査から順位を4つ上げていて、その理由として
▽金融大手「シティグループ」や
▽ドラッグストア大手「ウォルグリーン」といった大手企業のCEOに女性が就任するなど、女性の幹部登用が進んだことをあげています。

また、去年より順位を3つ上げて20位となったイギリスについては「女性役員などの上級職の割合が、全体の3分の1にまで増えたことがあげられる。一方で、こうした人たちの登用において、依然として女性に対する偏見が社会全体に残っている」と指摘しています。

アメリカで社会現象に ハリス副大統領身の真珠やスニーカー着用

意思決定の場における女性の数を増やそうという動きは海外でも広がっています。

アメリカでは、女性たちの間で、ことし1月に就任したハリス副大統領がよく身に着けている真珠やスニーカーを着用し、SNSにその写真を投稿する動きが相次いでいます。

これはアメリカにおける初めての女性副大統領の誕生を祝うとともに、意思決定の場における女性の数を増やそうという呼びかけに応じたもので、世代を超えて多くの投稿が寄せられ、社会現象にもなりました。

また、こうした投稿をきっかけに女性の政治進出を支援しようと連携する動きも出ています。

去年12月にはテキサス州に住む女性たちがフェイスブックのグループを立ち上げ、地方議会選挙などに立候補している女性候補者を招いてオンラインの勉強会を始めました。

勉強会では候補者の声を紹介して支持の拡大をはかるとともに参加者にも女性が政治家になることの重要性を知ってほしいとしています。

グループを立ち上げたジャネット・ディボーンさんは「ハリス副大統領の就任でやっと人々を代表する立場に多様性がもたらされた。女性をとりまく状況や問題を自分のこととして捉えられる人が必要だ。もっと多くの女性が政治に関われるよう、女性たちを支えたい」と話しています。

専門家 日本の変化「これから5年 加速して現れる時代では」

政治とジェンダーに詳しい上智大学法学部の三浦まり教授は日本が「女性の働きやすさ」という点で主要国の中で低い順位にとどまったことについて、社会における意思決定の場に女性が少ないことと密接に関わりがあると指摘しています。

そのうえで三浦教授は「男女で能力差が無いにもかかわらず、女性が意思決定の場にいないのは、選ばれ方や人材育成のどこかに問題があるということに、まずは気付く必要がある。政治の場合は、透明性や民主制がどこまで確保されているのか問うべきだ。また、企業の場合は、女性が出産や育児で一時的に仕事を中断したり短時間勤務になったりした際の不利を埋めるためにどのような人材育成をしてきたのかが問われる」と話しています。

さらに「構造的な問題を見ないで女性は能力が低いとかやる気がないというのは、問題を女性に転嫁している」と指摘しています。

一方、意思決定の場に立つ女性の選び方について「権力を持つ男性たちが『これがロールモデルだ』として選出するやり方ではうまくいかない。彼らが選ぶのは大抵(男性側にとって都合のいい)『わきまえた女性』だが、こうした人が必ずしも女性の支持を得られるわけではない」として女性の意見も尊重すべきだとしています。

また、日本でどう変化を起こしていくかについては、「組織内に一定の割合で女性を登用する『クオータ制』は変化のスピードを上げ、改革の出発点になりえる」としたほか、「日本では若い世代ほど人種差別や環境問題に敏感だ。日本の意思決定権のほとんどは高齢の男性が握っていて、世界と比べて意識の差が生じている。世代交代を進めることも必要だ」と訴えています。

そのうえで「ここ5年、10年は政府からの掛け声があっても社会を本気で変えようという空気はなかった。しかし世界は危機感を持って前に進んでいるし、政治や企業などあらゆるセクターがこのままではいけないと意識するようになった。これからの5年は変化が加速して現れる時代ではないか」と話しています。

東大学生グループ「意思決定に女性いなければ望む職場つくれず」

国際女性デーに合わせ、東京大学の学生グループが研究の世界でも意思決定権のある女性のマネジメント層を増やすべきだと訴える動画を作成しインターネットに投稿しました。

動画には大学の学生や教職員など100人以上が参加し、
▽「女性の活躍を後押しする」という意味を込めて片手をあげるポーズで写った写真や、
▽将来、研究者として活躍したい女子学生たちに向けた「あなたのその夢今こそ声に出し前へ」などといったメッセージが載せられています。

東京大学では、
▽常勤の研究者における女性の割合はおよそ18%、
▽このうち教授はおよそ8%にとどまっていて、若い世代の
女性研究者たちにとって将来像が描きづらいという声があがっています。

グループの共同代表を務める大学院生の岡村梢さんは「将来、家庭を持ちたいと思った時に研究と家庭が両立できるかなどちゅうちょしてしまう。女性研究者にとって働きやすい職場について考える際、意思決定の場に女性がいなければ望むような職場はつくれないのではないか」と訴えています。

学生グループは今後、若い世代に今後の人生設計の参考にしてもらえるよう、さまざまな立場の女性研究者の経験談をインターネット上で共有するなどさまざまな取り組みを進めていくとしています。

加藤官房長官「着実な取り組みを進めていきたい」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「政策方針決定への女性の参画拡大は、わが国の経済、社会の持続的な発展を確保する上でも、あらゆる人が暮らしやすい社会の実現を図っていく上でも極めて重要だ。第5次男女共同参画基本計画を踏まえ、特に経済分野については女性活躍推進法に基づき着実な取り組みを進めていきたい」と述べました。