国内で大規模国際会議 京都で開幕 新型コロナ感染拡大後で初

国連が主催し、各国の司法担当の閣僚らが犯罪対策を話し合う国際会議が7日、京都市で開幕しました。新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、国内で初めてとなる大規模な国際会議で、会場では感染対策を徹底することにしています。

7日に開幕した国連の「犯罪防止刑事司法会議」、通称「京都コングレス」の開会式では、オンラインで参加したグテーレス事務総長が「コロナ禍によって引き起こされた混乱は、犯罪者に対して、新たな機会を与えている。この会議を機に、国際協力を活性化して、正義と誠実な世界への道のりを築いていこう」と述べました。

開会式には、菅総理大臣が出席し「新型コロナウイルスという未曽有の危機に際し、世界でサイバー攻撃や詐欺などが相次ぎ、深刻な問題となっている。国際社会は、コロナ禍での犯罪防止を強化するとともに、刑事司法制度を十分に機能させるため、団結して対処していく必要がある」と述べました。

そして、刑事司法制度のデジタル化や、再犯防止に向けて地域ボランティアの活用などを盛り込んだ「京都宣言」が採択されました。

今回の会議は、感染が拡大して以降、国内で初めてとなる大規模な国際会議で、13か国の代表団と国連職員、合わせて160人程度の入国を例外的に認める一方で、滞在中は専用のホテルに宿泊し、ホテルと会場以外は、原則、外出が認められていません。

また、国内の参加者も含めて、全員にPCR検査が義務づけられたほか、会場では、握手などの接触が禁止され、医師が常駐するなど、感染対策を徹底することにしています。
会議の議長を務める上川法務大臣は、開会式終了後の記者会見で「ポストコロナを見据えた新たな国際会議の在り方を提示しており、今後の知見としていかせるように、役割を果たしていきたい」と述べました。

この会議は、今月12日まで行われます。

「京都コングレス」とは

国連の「犯罪防止刑事司法会議」、通称「京都コングレス」は、京都市の国立京都国際会館で、7日から今月12日までの6日間の日程で開催されます。

5年ごとに開催されるこの会議は、国連の犯罪防止や刑事司法分野では、最大の国際会議で、世界各国が協力して取り組むべき対策を「政治宣言」として取りまとめています。

前回は、2015年に、カタール・ドーハで開催され、およそ150の国から4000人が参加しました。

そして、京都市での開催が決まった2020年は、去年4月に行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期されていました。

会議の感染対策は

新型コロナウイルスの水際対策で、原則として外国人の入国が全面的に制限される中、今回の会議では13か国の閣僚級の代表団と国連職員の入国を例外的に認め、合わせて160人程度が来日する見通しです。

開催国として、受け入れの準備を進めてきた法務省は「考えられる対策はすべて実施する」として、万全の感染対策を講じて会議に臨む姿勢を強調しています。

海外からの参加者には、日本での滞在中は、ほかの人との接触を避けるよう求めています。

建物やフロアごと借り上げたホテルに宿泊して専用のシャトルバスで移動し、ホテルと会場を除いて、原則、外出は認められていません。また、会場への入場も厳しく制限されています。

国内の参加者や報道関係者にも、事前のPCR検査が義務づけられました。
そして、飛まつの拡散を防ぐため、参加者には医療用の高性能マスクを配布し、会場内では、全員にこのマスクの着用を求めています。

また、人と人との接触をできるだけ少なくするための対策も講じられています。
会場を案内するスタッフの人数を減らす代わりに、リモートで案内するシステムが導入され、参加者からの質問には、スタッフが対面せずに、別の場所からモニターを通して答えます。

さらに、会場内には、医師や看護師が常駐するとともに、感染の疑いがある人に対応するため、隔離用のテントも設けられました。

一方、会議場では、席と席との距離を2メートル離して、参加者どうしの距離を十分に確保したうえで、アクリル板で仕切りを設けています。

また、握手などの接触は禁止され、国際会議にはつきものの、食事を伴うイベントやパーティーなども開かれません。

今回の会議で初めて認められたオンラインを通じての参加は、全体のおよそ9割にのぼりました。

来場とオンラインを合わせた参加国は、前回、2015年のカタール・ドーハと同じ規模の、152か国にのぼる見通しです。