【緊急事態宣言延長決定】1都3県の対応は

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言は、7日の期限を2週間延長し、今月21日までとすることが決まりました。

首都圏の1都3県の対応をまとめました。

東京都 飲食店などへの時短要請今月末まで継続

緊急事態宣言の延長を受け東京都は、飲食店などへの営業時間短縮の要請を、解除後も含めて、今月末まで継続することを決めました。

緊急事態宣言が今月21日まで2週間延長されることを受けて、東京都は、新型コロナウイルスの対策本部会議を開きました。

この中で都は、飲食店などへの営業時間短縮の要請を、解除後も含めて、今月末まで継続することを決めました。

宣言の延長期間中は午後8時まで、宣言の解除後も午後9時までとし、この期間に全面的に要請に応じた事業者に対して、店舗ごとに124万円の協力金を支給します。

イベントについては、引き続き人数の上限を5000人かつ、収容率を50%以下とするよう施設の管理者や主催者に要請します。

また都民に対しては、不要不急の外出自粛や都と県の境をまたぐ移動の自粛の要請を継続するとともに、テレワークの徹底や歓送迎会など会食の自粛も求めます。

上野公園や井の頭公園など、すべての都立公園では宴会などを禁止し、花見客でにぎわうエリアは立ち入りを禁止するなど、人の流れを抑制する対策を強化します。

小池知事 年度末に向け飲み会自粛など強く呼びかけ

緊急事態宣言の2週間の延長を受けて、東京都の小池知事は5日夜、感染防止策の徹底を呼びかける臨時の記者会見を開きました。

都内の感染状況は下げ止まりが継続し、医療提供体制の負荷を示す療養者数や入院患者や重症者の確保病床に占める割合は国の4つのステージのうちステージ3にとどまっているとして、2週間の延長の期間でステージ2まで抑え込みたいという考えを示しました。

この中で小池知事は「これまで『新規陽性者数の7日間平均を前の週の7割以下に』ということを1つの目安に、さまざまな取り組みを進めてきたが、残念ながら現状は下げ止まりが継続している」と指摘しました。

そして「今も緊急事態宣言中であることを改めて認識していただきたい。目的は、都民の命を守り、医療従事者への負担を緩和するためだ。だからこそ今、都民の心をひとつにして、ここで感染を抑えていきたいという思いを大きく抱いている」と述べました。

そのうえで、現在の都内の感染状況では、▼新規感染者数や▼感染経路が不明な人の割合、▼PCR検査の陽性率は国の4つのステージのうち、ステージ3を下回ってステージ2の水準にあると説明しました。

一方で、医療提供体制の負荷を示す▼療養者数や▼入院患者や重症者の確保病床に占める割合はまだステージ3にとどまっているとして、さらに減少させる必要があると指摘しました。

小池知事は、「それぞれ命をかけた数字で、どうやってステージ2に抑え込んでいくのかを、この2週間で進めていかなければならない。そのために私たちは改めて原点に立ち返って、徹底的に感染を抑え込むことが必要になってくる」と述べ、2週間の延長の期間でステージ2まで抑え込みたいという考えを示しました。

このために、小池知事は、「昼や夜、休日も平日も、当面、外出の自粛の徹底を改めてお願いする。卒業旅行や春休みなどイベントが多い時期だが、仲間で遊びに行けば感染リスクが高くなる」と述べ自宅で過ごすよう呼びかけました。

また、「会食は飛まつが飛びやすく、感染のリスクになる。歓送迎会、謝恩会、コンパ、ランチ会、飲み会などは自粛していただきたい。ことしの花見は飲食も立ち飲みも『なし』でお願い申し上げる」と述べました。

さらに、小池知事は、「『ここまで頑張ってきたのにまだ終わらないのか』と思う方もいるだろう。一方で、感染状況が下がりきっていないのも現実だ。ここで集中して徹底的に対策をやりきることが感染の収束に向けて極めて大きな意味を持つ。この瞬間も必死に闘っている医療従事者に報いるため、また、変異ウイルスの脅威に適切に対応してワクチンの円滑な接種を進めるためにも、どうか理解をいただきたい。この2週間はとても重要で、私たちの総力を結集して、ここで何としてでも感染を抑え込んでいく」と述べ、都民や事業者に協力を呼びかけました。

神奈川県 飲食店への協力金支給条件に「マスク飲食推奨」追加

緊急事態宣言の延長が決まったことを受けて神奈川県は、対策本部会議を開き、飲食店への営業時間の短縮要請などを今月21日まで延長した上で、飲食店に協力金を支給する際の条件にマスク飲食の推奨を加えることなどを決めました。

会議では県内の新たな感染者の数は、ピークとなった1月中旬以降、減少が続いていたものの今週は、5日まで3日連続で、前の週の同じ曜日を上回り、下げ止まりの状況にあると報告されました。

4日までの7日間の新たな陽性者数は822人で、その前の7日間に比べて57人、率にして7%ほど増えたということです。

このため県は、延長された今月21日までの間、不要不急の外出の自粛要請や飲食店などへの営業時間の短縮要請、それに県立施設の臨時休館などを続けることをきめました。

また県独自に、食べたり飲んだりするとき以外はマスクを着用する「マスク飲食」を徹底するため、飲食店への協力金を支給する際の条件にマスク飲食の推奨を加えることを決めました。

さらに会議では、営業時間の短縮要請は段階的に緩和すべきだとして宣言が解除された後も今月31日までは、午後9時までとする方針も決めました。

一方、政府に宣言の解除を要請する目安について、黒岩知事は「神奈川県だけを見れば、解除に近い状況だと思うが、1都3県が同時に解除されるためには全体状況を見る必要がある」として特に定めない考えを示しました。

埼玉県 大野知事「周りにうつさない本気を見せて」

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言の2週間の延長を菅総理大臣が表明したことについて、埼玉県の大野知事は「ここ2週間の県内の感染者数は100人程度と下げ止まっているほか病床占有率の高い水準が続き、医療機関の負担を減らすまでに至っていない。気が緩めばリバウンドがおきかねない」と述べました。

そのうえで「周りにうつさない本気を見せてほしい」と述べ、不要不急の外出、特に午後8時以降の外出の自粛や、マスクの着用や消毒、換気、それに3密の回避など基本的な対策の徹底を呼びかけるとともに卒業旅行や歓送迎会を控えるよう求めました。

千葉県 森田知事「宣言延長やむをえない」

千葉県の森田知事は、首都圏の1都3県の知事によるテレビ会議のあと記者団に対し、緊急事態宣言の延長について「やむをえないと思います。今月21日までに解除できるように県民のみなさんと一体になって取り組んでいく。さらなる、感染防止対策として食事の際、黙って食べる、黙食(もくしょく)を心がけて欲しい」と述べました。

また森田知事は営業時間の短縮を求める飲食店などに1日あたり6万円の協力金を引き続き支払うとしたうえで、「みなさまには我慢と負担をお願いしているが、人間には我慢の限度がある。ただ、この我慢は4月から新生活をするための準備と考えたい」と述べました。

さらに政府に対して宣言の解除を要請する目安について森田知事は「医療用のベッド数がどのぐらい余裕があるかなどを考えて、感染状況を示す4つのステージのうちの『ステージ2』に近づいたらと考えている」と述べました。

尾身会長「一定数値決めて対策する『サーキットブレーカー』を」

政府の諮問委員会は緊急事態宣言が延長された首都圏の1都3県の知事に対し、宣言解除までの期間に取り組むべき対策として7つのポイントを示しました。

これについて諮問委員会の尾身茂会長は5日夜、開かれた記者会見で「4都県がこの2週間でやるべき対策は、感染が上昇しそうな時に急ブレーキをかけるための一連の対策パッケージを作りあげることだ。イギリスでは、こうしたやり方を『サーキットブレーカー』と呼んでいて、今後、このサーキットブレーカーを発動できるように準備を進める必要がある」と述べました。

その背景として、「これまでも『ステージ3』の状況になれば必要な対策をうつという考え方を示してきたが、去年の第3波の始まりではそうした仕組みが期待通りに機能しなかった。サーキットブレーカーの特徴として、ある数値を超えれば客観的、自動的に対策を行うという側面がある。恣意的な判断に左右されず感染拡大の予兆が見られた場合にはサーキットブレーカーを発動し、まん延防止等重点措置といった対策を迅速に使えるようにしてもらいたい」と訴えました。