1都3県の緊急事態宣言 2週間延長へ 政府 午後8時から対策本部

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言について、政府は、午後8時から対策本部を開き、7日の期限を2週間延長し、今月21日までとすることを決定します。

首都圏の1都3県の緊急事態宣言について、感染症の専門家などでつくる諮問委員会は、7日の期限を2週間延長し、今月21日までとする政府の方針を了承しました。

これを受けて、国会で報告と質疑が行われ、西村経済再生担当大臣は「首都圏の4都県について、直近の感染状況や医療提供体制の状況を見ると『ステージ3』相当以下となっているが、ぎりぎりの指標もある」と述べました。

そのうえで「特に医療提供体制に対する負荷を軽減するため、緊急事態措置を引き続き実施し、対策の徹底を図り、病床使用率が安定的に下がることを見極め『ステージ3』相当を確実なものとする必要がある」と述べました。

政府は、午後8時から対策本部を開き、1都3県の宣言について、今月21日まで延長することを決定します。

そして、菅総理大臣が、午後9時ごろから記者会見し、感染者数や病床の使用率を着実に減少させて宣言の解除につなげるため、国民に対し、一層の外出自粛やテレワークへの協力などを呼びかけることにしています。

1都3県を対象にした緊急事態宣言は、今回が2度目の延長となります。

医師「一人一人が集中して対策を」

緊急事態宣言の延長について、重症患者の治療を行ってきた国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は「治療に多くのスタッフを必要とする重症患者を減らせるため、医療現場の負担を軽減する意味では効果的だ」と話しています。

忽那医師によりますと、国立国際医療研究センターでは、ことし1月下旬には入院患者がおよそ50人と、ほぼ満床だったのが、今は20人程度で現場の負担は確実に減っているということです。

その一方で、忽那医師は「今週は入院患者の数が前の週より少し増えた印象で、下げ止まりの状態から徐々に増加に転じているのではないかという懸念がある。感染が再拡大すると、際限なく緊急事態宣言の延長が繰り返される事態になりかねない」と述べ、医療現場では予断を許さない状況が続いているという見方を示しました。

また、延長の期間が2週間ということについては「長ければ長いほど、純粋に感染対策としてはよいと思うが、経済や社会の状況などを考えると、あまり長く延ばすわけにはいかない。『短期間で収束させる』という強い気持ちで臨まないと状況は改善せず、一人一人が集中して対策に取り組む必要がある」と話しました。

そのうえで、忽那医師は「ワクチン接種を行う医療機関の体制の確保や拡大が懸念されている変異ウイルスの広がりを確実に把握する調査を行うためにも緊急事態宣言が延長された期間に感染者を減らす必要がある」と強調しました。

2週間で進めるべき「7つのポイント」

首都圏の1都3県で、緊急事態宣言が延長されるこの2週間の間に進めるべき対策について、感染症の専門家などでつくる新型コロナウイルスの政府の諮問委員会は「7つのポイント」をまとめ、このあと知事に対して文書で示す方針です。

諮問委員会は、5日の会合で首都圏の1都3県で緊急事態宣言を2週間延長する方針を了承しましたが、この中で、委員からは1都3県はほかの地域よりも感染対策が難しいことや、変異ウイルスが広がった場合、より強い感染対策が必要とみられることなどから、感染が再び拡大することへの強い懸念が示されたということです。

このため諮問委員会は1都3県で、この2週間の間に進めるべき対策を「7つのポイント」としてまとめ具体的に示すことになりました。

ポイントでは、歓送迎会などの年度末や年度はじめの恒例行事を控えるよう国や自治体が一体となってメッセージを発信することを求めるほか、感染リスクの高い場所で積極的に検査を行うことや、変異ウイルスを検出する検査を進めることなど再拡大の兆しをいち早くつかむ対策の充実、それに高齢者施設で感染が起きた際の支援強化などが盛り込まれる見込みです。

諮問委員会では、ポイントを文書にまとめ、1都3県の知事に対して示すことにしています。

諮問委員会のあと報道陣の取材に応えた尾身茂会長は「1都3県は、人口が密集していてほかの地域よりもリバウンドが起こりやすい。延長された2週間を使ってリバウンドを徹底して防ぐための体制を作ってほしい」と話していました。