ボクシング東京五輪世界最終予選中止 出場枠はIOCランキングで

IOC=国際オリンピック委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ことし6月に予定していた東京オリンピックのボクシングの世界最終予選を中止したうえで、この予選で争われる予定だった53の出場枠については、IOCが設定したランキングで振り分けることを正式に決めました。

IOCは5日までに新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ことし6月にパリで予定されていた東京大会のボクシング世界最終予選の中止を決めました。

この予選では53の出場枠が争われ、日本からも若手選手が出場を目指していましたが、これらについては東京大会のボクシング競技を運営するIOCの特別チームが設定したランキングで決めることになりました。

この決定を巡っては、日本ボクシング連盟が最終予選の中止を撤回し、アジア・オセアニアなどでの、最終予選の実施を求める嘆願書を提出する動きがありましたが、ランキングで決まることになりました。

IOCのボクシング特別チームの渡辺守成座長は「変化し続ける感染状況を監視しながらアスリートの健康と安全を最優先し、すべての地域で公正かつ公平なオリンピックの予選プロセスを目指し、本大会への体力回復のための十分な時間を確保することまで考えたうえで決断に至りました。どの選手にとってもこの決定による影響が違うにもかかわらず、受け入れていただけることを感謝します」とコメントしています。

日本選手の選考状況は

中止が決まった世界最終予選に、日本からは開催国枠などで東京オリンピックの代表内定を得ることができなかった男子2階級、女子3階級の合わせて5人が出場する予定でした。

この5人は去年3月に行われたアジア・オセアニア予選で出場枠を獲得できず、開催国枠でも代表内定を得ることができなかったため、世界最終予選が最後のチャンスでした。

出場を予定していたのは、男子はフェザー級の堤駿斗選手とライトヘビー級の梅村錬選手、女子ではライト級の濱本紗也選手、ウエルター級の鬼頭茉衣選手、ミドル級の津端ありさ選手です。

一方、これまでに日本選手は男女合わせて6人がアジア・オセアニア予選での出場枠の獲得や開催国枠で代表に内定しています。

男子は4階級で、ウエルター級の岡澤セオン選手がアジア・オセアニア予選で出場枠を獲得したほか、3つある開催国枠ではフライ級の田中亮明選手とライト級の成松大介選手、それにミドル級の森脇唯人選手の3人が代表に内定しています。

女子はフライ級の並木月海選手とフェザー級の入江聖奈選手がアジア・オセアニア予選で出場枠を獲得し、女子の日本選手では初めてオリンピックの代表に内定しています。

日本選手5人 出場は厳しく

世界最終予選の中止で、オリンピックの出場枠を獲得できていなかった日本選手5人の出場は、ほぼなくなりました。

世界最終予選では、男女合わせて13階級それぞれの成績上位に対し、合わせて53の出場枠が与えられる予定でした。

しかし、最終予選が行われないことで宙に浮くことになった53の出場枠は、地域や階級ごとに均等に割りふられることが決まりました。

その出場枠を特別チームが設けたランキング上位の順に得るということです。このランキングは、東京大会の代表選考のために特別チームが設けたもので、2017年以降の国際大会や各大陸の予選の成績が反映されます。

しかし、日本ボクシング連盟は、世界最終予選に臨む予定だった日本選手5人が20代前半などで若く、国際大会での実績も乏しく、ランキングが低いことから東京大会出場が極めて厳しくなったとしています。

選手の中には、2016年に行われた世界ユース選手権に高校2年生で出場し、日本選手として初めて金メダルを獲得した期待の若手、堤駿斗選手(21)がいますが、こうした選手も最後の予選で試合をすることなく目標にしていた自国でのオリンピックに出場できなくなります。

日本ボクシング連盟は

日本ボクシング連盟はIOCの特別チームが世界最終予選の中止などを決めたことを受け、特別チームに対してアジア・オセアニアの最終予選の実施を求める嘆願書を提出していました。

嘆願書では特別チームのランキングには海外での実績が乏しい若手選手が正しく評価されない可能性があるなどと指摘したうえで、最も公平に選考するためにはアジア・オセアニアなどの予選を実施するべきだなどと要望していました。

その後、特別チームから「選考方法を再検討しない」という内容の回答があり、連盟は特別チームとの意見交換の結果、感染拡大が世界で問題となっていることを踏まえた内容に理解を示し、決定を受け入れることを表明していました。

最終予選中止の経緯

ボクシングの世界最終予選の中止は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中で、予定していた大会を終えられずに東京大会の代表選考をせざるをえなくなっている現状を浮き彫りにしました。

東京オリンピックでボクシングに主体的に取り組むIOCの特別チームは当初、去年5月にパリで世界最終予選を行う予定でした。

しかし、世界的な感染拡大で最終予選の出場選手の選考の一環でもあるヨーロッパ予選と南北アメリカ予選の2つの大陸予選が中断・延期となったため、ことし6月までに実施する計画でした。

1度の延期後も感染は収束せず、ことし4月のヨーロッパ予選が6月にずれ込むことになり、選手の健康管理や試合間隔などの問題から公平に競技を行うことが難しいとして、開催を見送りました。

7月のオリンピック本番を見据えた場合、これ以上代表選考の時期を後ろ倒しにすることができなくなってしまったのです。

こうしたことから特別チームは、先月15日、最終予選を中止したうえでランキングによる選考を実施すると発表していました。

今回の最終予選は、日本選手にとって、自国でのオリンピックの代表に内定できる最後のチャンスでしたが、中止によって試合に挑むことができなくなっただけでなく、感染が世界に拡大する中、予定していた大会を開催できずにオリンピックの代表選考をせざるを得なくなっている現状を浮き彫りにしました。

女子ウエルター級 鬼頭「もどかしさ 必ず選手人生で大きな糧に」

世界最終予選の中止決定を受けて女子ウエルター級の鬼頭茉衣選手がコメントを出しました。

鬼頭選手は「はっきり言えばもう切り替えました。次の大会に焦点を当てています」と心境を話した上でIOCの特別チームが予選の中止を決めたことについて「この1年間、日本のみならず世界の危機的状況を目にしてきて、今すぐには変えられない現実があるということを学んだ。今回の最終予選中止の件も、致し方ない部分があることを承知している」と受け入れていることを明らかにしました。

東京大会を目指してきたこれまでの経験を踏まえて「オリンピックに向かって取り組んできたことは何もむだではない。たくさんの人との出会い、さまざまな経験も多くあり、充実した日々だった。この悔しさ、もどかしさは必ず選手人生の中で大きな糧になることは間違いないので、むしろバネにして次の目標に向かって取り組んでいきたい。引退した時にはこの経験を生かして後世に何か伝えられるよう、残りの選手人生を頑張りたい」とコメントしています。