産油国 原油生産量をほぼ据え置く 国際価格は大幅上昇

サウジアラビアなどの主な産油国は、来月の原油の生産量をほぼ今の水準で据え置くことを決めました。需要の持ち直しが見込まれているなかで大規模な増産が見送られた結果、国際的な原油価格は大幅な上昇となりました。

サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構と、ロシアなど非加盟の産油国は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて去年5月に協力して生産を絞る「協調減産」に踏み切り、原油価格の下支えをはかってきました。

その後、景気回復への期待が強まって原油価格は感染拡大前の水準にまで上昇し、日本国内のガソリン価格も値上がりしていて、産油国が大規模な増産に踏み切るかが焦点になっていました。

主な産油国は4日、オンラインで会合を開き、サウジアラビアのアブドルアジズエネルギー相は、冒頭で「市場が改善していることは疑いないが、回復の不確実性は薄れていない」と述べ、原油を取り巻く環境は依然として不透明だという認識を示しました。

そして、来月の生産量について増産を主張してきたロシアとカザフスタン以外のほかの主な産油国は今の水準のまま減産を続けることを決めました。また、サウジアラビアが行っている自主的な減産も続けることになりました。

原油需要の持ち直しが見込まれる中で大規模な増産が見送られたことから、国際的な指標になっているニューヨーク市場のWTIの先物価格は一時、5%を超える上昇となり、去年1月以来の高値を更新しました。

専門家「価格が上昇していくかは不透明」

原油価格は新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に打撃を与えた影響で、去年春に大きく落ち込みました。

その後、産油国が協調して減産に動いたことや、需要の持ち直しからこのところ上昇傾向が続き、日本でもガソリン価格などが値上がりしています。

原油価格の先行きについて、日本エネルギー経済研究所の日根大輔研究主幹は「外出制限などの規制が残り、ワクチンの供給も持病がある人などに限られる中で、経済活動は不調のままだ。これからさらに原油価格が上昇していくかは不透明だ」と話しています。

また、日根研究主幹は「脱炭素社会の流れの中で、原油価格が上昇すれば、代替エネルギーへの転換が進みやすくなる。高い原油価格を目指すことは、産油国にとって必ずしも得策ではなく、経済の実態に見合った価格に抑えていくことが大事になってくる」と述べ、産油国は需要の動向を見ながら生産を段階的に増やしていくという見方を示しました。