1都3県の緊急事態宣言 “2週間延長し21日まで” 諮問委が了承

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言について、感染症の専門家などでつくる諮問委員会は7日の期限を2週間延長し、今月21日までとする政府の方針を了承しました。政府は5日夜、対策本部を開いて宣言の延長を決定することにしています。

政府の諮問委員会は、午前7時から西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣も出席しておよそ2時間にわたって開かれました。

この中で西村大臣は「首都圏については新規陽性者の減少のスピードが鈍化しており、日によっては増加したり横ばいも見られる。全体としては『ステージ3』以下になっているが、指標によってはギリギリの数字もあり、病床について安定的に数字が下がっていくことを確実にする必要がある」と述べました。そのうえで7日の緊急事態宣言の期限を2週間延長し、今月21日までとする方針を示しました。

そして西村大臣は「3月、4月は行事や人の移動が多い時期で、去年は3月の後半以降、感染が拡大した経験もある。ワクチン接種を控えた医療機関の負荷の軽減や変異株への対応も必要だ」と指摘しました。
一方、田村大臣は「国民には大変迷惑をかけることになるが、ワクチン接種を円滑に進めるとともに変異株に対応するための水際対策の強化や民間機関と連携しながらのスクリーニング、積極的疫学調査の強化や国民への啓発をしっかり進めたい」と述べました。

このあと協議が行われ、政府の方針が了承されました。

これを受けて、政府は国会への報告と質疑を経て5日夜、対策本部を開き、1都3県の宣言について今月21日までの延長を決定することにしています。
そして菅総理大臣が午後9時ごろから記者会見し、感染者数や病床の使用率を着実に減少させて宣言の解除につなげるため、国民に対し一層の外出自粛やテレワークへの協力などを呼びかけることにしています。

諮問委 尾身会長 「7つのポイント文書で示す」

諮問委員会の尾身茂会長は会議のあと報道陣の取材に応え、首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言の期限を2週間延長する方針を政府が示したことについて「政府の方針に対しては特に反対意見はなく、われわれとしては合意した」と述べました。

そのうえで「緊急事態宣言が延長される1都3県は他の地域より感染対策が難しく感染の再拡大、リバウンドを起こしやすいという特性がある。そういうなかで諮問委員会としては1都3県の知事に対して、今回延長された2週間を使って、リバウンドを防止するための検査や感染経路の調査の体制を強化することなどをぜひやってもらいたい。知事に求める対策を7つのポイントにまとめ、文書を作って示す予定だ」と述べました。

諮問委 岡部会長代理「医療体制の安定度見るには最低2週間必要」

諮問委員会の会長代理で内閣官房参与を務める川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は記者団に対し「医療提供体制が安定しているという意見はなく緊急事態宣言を延長するのはやむを得ない。医療提供体制の安定度を見るには最低2週間が必要で、1週間ではとても分からない。また、3週間や4週間、宣言を続けるのは、社会的、心理的な問題がある」と述べました。

麻生副総理兼財務相 「延長したほうが影響が少ない」

首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言を2週間延長し、3月21日までとする政府の方針について麻生副総理兼財務大臣は5日の閣議のあとの記者会見で「いわゆる卒園式や入社式、転勤だとか飲み会が始まる時に、もう1回緊急事態宣言を出すよりも2週間延長したほうが影響が少なくて済むのではないか」と述べ、宣言を延長して感染を抑え込むことで、景気への影響は小さくなるとの認識を示しました。

また、宣言の延長に伴って追加の財政支援が必要かどうかについて麻生大臣は「現在の支援策などもあるので、よく判断していきたい」と述べました。

西村大臣 「『ステージ3』相当にあることを確実にしたい」

西村経済再生担当大臣は諮問委員会のあと記者団に対し「首都圏の緊急事態宣言の期間は今月21日、日曜日まで延長することで了承いただいた」と明らかにしました。

そのうえで「2週間、しっかりと対策を強化し、厚生労働省と都県が一体となって病床の確保に努めていただき、病床使用率が安定的に下がることを見極めながら『ステージ3』相当にあることを確実にしたいと考えている。このあと衆参両院の議院運営委員会で説明し、政府対策本部で正式に決定したい」と述べました。

田村厚生労働相 「病床がひっ迫 改善が大きな目的」

田村厚生労働大臣は記者団に対し「病床がひっ迫しているというのが今回、延長する1つの大きな理由であり、そこを改善するのが大きな目的だ。新たな感染者をしっかり調査できる体制を組み、全体の検査数を上げていく中で変異株をあぶり出していくことも重要になってくる。この2週間が瀬戸際であり、感染者をなるべく抑えていきたい」と述べました。

梶山経済産業相 「事業継続支援に全力」

梶山経済産業大臣は5日の閣議のあとの記者会見で「中小企業、小規模事業者にとっては引き続き厳しい経営環境であると認識しており、事業継続への支援に全力で取り組みたい。今後、開催される諮問委員会や政府の対策本部の議論を踏まえつつ経済環境を注視しながら適切な対策を取りたい」と述べました。

萩生田文科相 「学校行事 適切に対応を」

緊急事態宣言の延長に伴う卒業式や修学旅行などの学校行事の取り扱いについて萩生田文部科学大臣は閣議のあとの記者会見で「例えば卒業式では、こまめな換気の実施や参加人数を抑えたり、時間を短縮したりするなど感染拡大防止の措置や実施方法の工夫もしたうえで、宣言の再延長をもって中止してしまうのではなく、適切に対応していただきたい。ぜひことしは、卒業式などを実施していただければありがたい」と述べました。

立民 安住氏 「政府の基準は何だったのか」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「基準が満たされているにもかかわらず延長するなら、政府の作った基準は何だったのか。理由がなければ、これまで我慢してきた人たちにとっては耐え難い。菅総理大臣は、みずから決断すると言っていたのだから、国会に来て話さなければ始まらないのではないか」と述べました。

共産 田村氏 「政府の対策示すことがセットで必要」

共産党の田村政策委員長は記者会見で「世論に押されるように『とりあえず2週間』といった延長理由の説明だけでは、事業者も国民も苦しいだけだ。しっかり政府の対策を示すことがセットで必要で、問われているのは政治の責任だと指摘したい」と述べました。