山田内閣広報官が辞職 総務省接待問題で 菅首相 国会で陳謝

衛星放送関連会社に勤める菅総理大臣の長男などから接待を受けていた山田真貴子内閣広報官は先月28日体調不良を理由に入院し、3月1日辞職しました。菅総理大臣は国会で今回の接待問題を改めて陳謝しました。

山田真貴子内閣広報官は総務審議官当時、衛星放送関連会社「東北新社」に勤める菅総理大臣の長男などから1回で1人当たり7万円を超える飲食の接待を受けていました。

先月25日には参考人として国会に出席し「公務員の信用を損なうことになり、深く反省している」と陳謝し事業に関する働きかけはなかったなどと説明したうえで、辞職を否定していました。

また、菅総理大臣も先週「今後とも、頑張ってほしいと思っている」と述べ、続投させる意向を示していました。

しかし、野党側は山田氏の国会での説明は不十分だなどとして内閣広報官を辞職するよう求めていました。

こうした中で、山田氏は28日体調不良で入院して3月1日付けで「職務を続けるのは困難だ」として辞表を提出し、持ち回りの閣議で認められました。

この影響で、午前9時から予定されていた衆議院予算委員会の集中審議は30分遅れて始まり、菅総理大臣は「私の家族が関係して結果として公務員が倫理法に違反する行為をしたことは大変申し訳なく、国民に深くおわび申し上げる。行政に対する国民の信頼を大きく損なう事態になったことは、深く反省しなければならない」と陳謝しました。

山田氏は旧郵政省出身で、第2次安倍政権で女性として初めての総理大臣秘書官を務めました。

総務省を退官したあと、去年9月に内閣広報官に起用され菅総理大臣の記者会見で進行役を務めていました。

加藤官房長官 「山田内閣広報官は体調不良で入院」

加藤官房長官は衆議院予算委員会の冒頭で「予算委員会に出席予定だった山田真貴子・内閣広報官はきのう夕方、体調不良によりかかりつけの病院を受診したところ『2週間程度の入院加療を要する』との診断を受け、入院した」と説明しました。

そのうえで「本人から『職務の遂行を続けることが難しい』と入院先から杉田官房副長官に辞意が伝えられ、その夜、杉田副長官から菅総理大臣と私に報告があった。菅総理大臣は『やむをえないこと』と判断した。本日付で退職願が提出され、先ほど持ち回り閣議が終了した。審議にご迷惑をおかけして大変申し訳ない」と陳謝しました。

菅首相 衆院予算委で陳謝

立憲民主党の枝野代表は衆議院予算委員会で「菅総理大臣が先週の段階で『辞めてください』とお願いすべきだった。『息子のことで申し訳ないが』と言わなければ、山田氏は辞めるに辞められない。遅きに失した」と批判しました。

菅総理大臣は「きのうの夕刻体調不良によって入院し、入院先から杉田官房副長官に辞意を伝え私にその報告があった。そういう状況であればやむをえないと判断した」と述べました。

そのうえで「私の家族が関係して結果として公務員が倫理法に違反する行為をしたことは大変申し訳なく、国民に深くおわび申し上げる。行政に対する国民の信頼を大きく損なう事態になったことは、深く反省しなければならない」と陳謝しました。

加藤官房長官「後任は速やかに選定進めたい」

加藤官房長官は午前の記者会見で「まさに本人の体調ということでの判断だったと思う。引き続き仕事を頑張っていただきたいという思いはあったが、本人の体調と意思ということもあるので、菅総理大臣もやむをえないという判断に至った。後任については、急な話であるが業務に支障がないよう速やかに選定を進めていきたい」と述べました。

そのうえで「朝から対応させてもらったが国会の予算委員会の審議に支障が生じたことは、しっかり受け止めていかなければならない」と述べました。

さらに「山田内閣広報官の辞職はあくまでも本人の健康の事情ということだが、一連の事案については行政に対する国民の疑念を招く形になり、政府として深く反省し、こうした事態が二度と生じないよう対応していかなければならない」と述べました。
また加藤官房長官は午後の記者会見で「山田氏の後任については現在検討が進められているところだ。総理大臣の記者会見の司会は代行の方が行った事例もあるが、業務に支障がないよう速やかに後任の選定を進めていきたい」と述べました。

そのうえで、記者団が後任に求められる資質を尋ねたのに対し「記者会見の司会もあるが、内閣の政策を国民に分かりやすく伝えていくことも大きな役割だ。そういった意味での感性も持ち合わせた方が、よりふさわしいのではないかと思う」と述べました。

自民 二階幹事長「誠に気の毒なことだ」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「体調不良によって入院され、職務遂行が難しいとの理由だったが、誠にお気の毒なことだ。まずはしっかりと静養してもらい、1日も早い回復、復活を願いたい。よく本人が考えたうえでの決断であったろうと思うので、それ以上でも、それ以下でもない」と述べました。

自民 後藤政調会長代理「やむをえない」

衆議院予算委員会の与党側の筆頭理事を務める、自民党の後藤政務調査会長代理は記者団に対し「理事会では加藤官房長官から山田氏の入院と辞職について説明があったが、特に与野党から意見は出ていない。入院による辞職なので、やむをえないことだと思う」と述べました。

立民 枝野代表「総理は逃げている」

枝野代表は記者団に対し「辞めた理由が病気だということで、それはそうなんだろうと思うが、山田氏の接待問題が明らかになった先週以来、菅総理大臣から政治家としての説明はひと言もなく逃げていると言わざるをえない」と述べました。

また、新型コロナ対応をめぐる総理の国会答弁についても「政治的リーダーシップについて問うたのに予想以上に残念な答えで、できの悪い官僚答弁を朗読していた。こんなことで乗り切れるのか強く危惧せざるをえない」と述べました。

立民 安住国対委員長「もう少し早く決断をしてもらいたかった」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「体調を壊して入院したということだが、内閣広報官として国民に説明する任にはあらずと思っていた。野党側は早期に辞任したほうが、本人のためにも内閣のためにも国民のためにもいいと言っていたので、菅総理大臣がもう少し早く決断をしてもらいたかった」と述べました。

共産 小池書記局長「辞職で疑惑にふた許されない」

共産党の小池書記局長は、記者会見で「あれだけ高額の接待を受け、国民の批判も非常に強かったので辞職は当然だが、擁護した菅総理大臣の責任も極めて重大だ。山田氏の回復を願うが、しかるべき時期には接待のいきさつなどの真相を語ってもらいたい。入院、辞職で疑惑にふたをすることは許されない」と述べました。

国民 玉木代表「首相の判断遅かった」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「後手後手で小出しだ。山田氏の問題は、感染症対策や国益にとってマイナスとなっていた。菅総理大臣は『泣いて馬謖(ばしょく)を斬る』ではないが、先週のうちに辞めさせておくべきだった。判断が遅かったと言わざるをえない」と述べました。

野党側「菅首相の責任は重大だ」

山田内閣広報官の辞任の意向を受けて立憲民主党、共産党、国民民主党の国会対策委員長らは国会内で会談し、対応を協議しました。

この中で野党側は「問題発覚後、菅総理大臣が山田氏を擁護し、いったん続投させたことで国民からの不信を招き、その責任は重大だ」として、今後の審議で責任を追及していく方針で一致しました。

厚労省職員や幹部は

厚生労働省の中堅職員は「多様な人と交流する中でよりよい政策をつくれる面もあり、酒席に参加することが一概に悪いとは言えない。今の時点で必ずしも辞職する必要があったとは思わないが、行政がゆがめられることがなかったか検証すべきだ」と話していました。

また、幹部職員の1人は「厚生労働省でも『利害関係者と会食してはいけない』などと厳しく言われていて、金額がいくらであれ届け出るのが当たり前だったと思う。山田氏はすでに総務省を退職した特別職なので辞めるかどうかは本人の判断だが、個人的には任命した内閣にも責任があるのではないかと思う」と話していました。

別の幹部職員は「長年勤めているが、周囲で利害関係者から接待を受けたというケースは聞いたことがない。一線を越えているのは確かなので自分が同じ立場だったら辞めるのは当然だと思う」と話していました。

文科省職員 まだ接待に驚きも

山田真貴子内閣広報官の辞職について、3年前に汚職事件で局長級の幹部2人が相次いで逮捕・起訴されたほか、当時の事務次官など幹部3人が接待を受けるなどして懲戒処分を受けた文部科学省の職員からは、その後も省庁の幹部が接待を受けていたことに驚きの声もあがっています。

幹部職員の1人は「省内では、事件があったこともあり、利害関係者にあたらなくても会食の支払いには非常に気を遣うようになっている。利害関係者から接待を受けていたということであれば辞職はやむをえないだろう。外部の方たちと率直な意見交換をするために会食自体の規制をされることは望ましいと思わないが、会費制にするなど、支払いかたに十分気をつけなければ身を滅ぼしかねない」と話していました。

また、中堅職員は「省内で起きた事件では職場の人が検察の取り調べを受けるという事態を目の当たりにしており、接待を受けることを甘く見てはならないと痛感した。そもそも、国家公務員倫理法のルールは研修で徹底して学び誰が利害関係者に当たるかたたき込まれていて、事件のあとも幹部がこうした接待を受けていたこと自体に驚きを隠せない。再び官僚の信用が落ちるとしたら非常に残念で、襟を正していかねばならない」と話していました。

環境省職員「早い段階で更迭すべきだった」

山田真貴子内閣広報官の辞職について、環境省の中堅職員は「内閣広報官という重い立場や7万円という高額な接待に対する世間の受け止め、それに総務省幹部の処分との比較で考えると早い段階で更迭すべきだった。国会で来年度予算の審議が行われている最中なので、辞職するなら本人や周囲がもう少し早く判断すべきだったとも思う。今後の予算審議や法案審議に影響しないか心配だ」と話していました。

警察庁職員「一線を越えている」

山田真貴子内閣広報官の辞職について、警察庁のある職員は「新型コロナウイルスのワクチンの接種など国民の関心が高いさまざまな問題について発信していかなければならない中、政府の窓口である内閣広報官の立場は重要で、辞職はやむを得ない状況だったと思う」と話しています。

そのうえで「さまざまな業界の幹部と意見を交わす機会は各省庁ともあると思うが、今回のように民間企業から非常に高額な接待を受けていたことは明らかに一線を越えていて国民の理解を得られるものではない。政治や官僚に向けられた不信感を取り除くための取り組みが必要だ」と話していました。

国交省幹部「悔しいし残念」

山田真貴子内閣広報官の辞職について国土交通省の幹部職員は「私自身、企業の関係者と会食することはあるが、1円単位までしっかりと割り勘にするし、必要な場合は省内に届け出もして疑われないように細心の注意を払って対応している。それなのに官僚として上り詰めた人物が7万円という高額な接待を受けていたことにとても驚いた」と述べました。

また、記者が接待の場に菅総理大臣の長男が同席したことについてどう思うか尋ねたところ「父親である菅総理の影もちらつき、断れなかったのかもしれないが、しっかりとした対応をしなければならなかった」と述べました。

幹部職員は「今回の件で『役人はみな接待を受けている』とやゆされるのは悔しいし、残念だ」と話していました。