「災害時の避難の判断に新型コロナ影響」回答の約9割 NHK調査

東日本大震災の発生から10年になるのを前に、NHKが全国で行った世論調査で、全体の9割近くが、災害時に避難所に行くかどうかを判断する時に新型コロナウイルスが『影響する』と回答し、避難行動に大きな影響を与えていることが分かりました。

東日本大震災からの復興や日頃の防災意識を探るため、NHK放送文化研究所は去年の11月11日から12月18日にかけて、全国の16歳以上の3600人を対象に郵送法で世論調査を行い、64.2%に当たる2311人から回答を得ました。

避難行動 新型コロナウイルスの影響は?

この中で、災害時に避難所に行くかどうかを判断するときに、新型コロナウイルスのことがどの程度影響すると思うか尋ねたところ、▽「大いに影響する」が38%、
▽「ある程度影響する」が51%で9割近くが『影響する』と考えていることが分かりました。

『影響する』と回答した人は、
▽男女別では、女性が9割で男性よりも多くなったほか、
▽年代別では、60代から70歳以上が9割を占め、年代が高いほど『影響する』と思う人が多くなっています。

防災訓練への参加状況は?

また、この1年間に避難訓練や防災訓練に参加したかどうか尋ねたところ、「参加しなかった」が67%に達しました。

その理由を尋ねると、
▽「訓練がなかった」が45%と最も多く、
次いで、
▽「訓練があることを知らなかった」が19%、
▽「都合が悪かった」が17%で
▽「新型コロナウイルスの感染が心配だった」も7%ありました。

この結果について、防災行動に詳しい兵庫県立大学の木村玲欧教授は「感染を恐れて避難が必要なのに避難しないというのがいちばんの問題だ。自治体による避難所での新型コロナ対策は進んできているので、訓練に参加して対策を確認するなど、いざという時に適切な行動ができるように備えておくことが大切だ」と指摘しています。