新型コロナ遺族手当 同性パートナーも対象 東京 世田谷区

新型コロナウイルスで死亡した人の遺族が手当を受け取れる国民健康保険の特例措置について、同性パートナーの遺族も対象とする独自の制度を東京 世田谷区が導入しました。

国は、国民健康保険に加入している非正規雇用の人などが新型コロナウイルスに感染して働けなくなり給与が得られなくなった場合に「傷病手当金」を受け取れる特例措置を設けています。

加入者が死亡した場合は遺族が代わりに手当を受け取れますが、国の制度では同性のパートナーは対象になっていません。

このため世田谷区は独自の制度を設けて、同性パートナーの遺族にも手当にあたる金額を支給することを決め、2月から運用を開始しました。

区内で同居して生計をともにするなど一定の要件を満たしている人が対象となります。

世田谷区では6年前、同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認めるパートナーシップ制度を全国に先駆けて導入したほか、3年前には性的指向による差別のない社会を目指すことなどを盛り込んだ条例を施行しています。

世田谷区は「区の条例の理念に基づく取り組みで、同性パートナーを異性の配偶者と同様に扱うことが少しずつでも広がるよう努力したい」としています。

専門家「大きな一歩 国としても権利保障を」

同性カップルの権利に詳しい寺原真希子弁護士は「全国の自治体で同性パートナーシップ制度の導入が飛躍的に進み、同性カップルが多くの人に知られるようになったが、異性カップルが得られるような具体的な権利や利益が自動的についてくるわけではないのが現状だ。そうしたなか今回具体的な権利を付与したことは、たとえ制度を利用する人が限定的だったとしても意義があり、大きな一歩だ」と指摘します。

そのうえで「ほかの自治体でも世田谷区にならってこうした動きが広がると想定されるが、一方で社会保障や税制などは国が所管するものが多く、自治体単位で対応できることには限界もある。今後、国としても同性パートナーの権利の保障が進められるべきだ」と話しています。