東京都モニタリング会議 “減少傾向が鈍化 再拡大に警戒必要”

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、新規陽性者の減少傾向が鈍化していると分析したうえで、再び感染拡大に転じることへの十分な警戒が必要だと指摘しました。

26日の会議で専門家は、都内の感染状況と医療提供体制をいずれも最も高い警戒レベルで維持しました。

このうち感染状況について、新規陽性者数の7日間平均は、1週間前・今月17日時点の347人から24日時点で288人と、5週連続で減少したものの、その傾向は鈍化していると分析しました。

また新規陽性者数の増加比は、70%台に抑えられていたのが、24日までの1週間は83%まで上昇し、感染が拡大する指標の100%におよそ1か月ぶりに近づいているなどとして、再び拡大に転じることへの十分な警戒が必要だと指摘しました。

専門家は「新規陽性者数が減少している今こそが大変重要な時期で、感染拡大防止策の徹底を継続する必要がある」と呼びかけました。

一方、医療提供体制については、24日時点の入院患者が1882人と減少傾向にはあるものの非常に高い水準で推移し、通常医療への影響が長期間続いていると指摘しました。

専門家は「現状では、変異したウイルスなどによる感染の再拡大に対応できない。新規陽性者数を確実に減少させて、保健所や医療機関の負荷を早期に解消する必要がある」と述べました。

専門家の分析結果

26日のモニタリング会議の中で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

新たな感染の確認は、24日時点の7日間の平均は288.3人で、5週連続で減少しましたが、専門家は依然として去年の夏の第2波のピーク時と同じ水準で高い値だと分析しています。

さらに、増加比は前回のおよそ70%からおよそ83%まで上昇していて、専門家は「減少傾向が鈍化していて、再度感染拡大に転じることへの十分な警戒が必要だ」と危機感を示しました。

今月22日までの1週間に感染が確認された人を年代別の割合でみると、
▽20代が最も多く20.9%、
次いで
▽30代が17.8%、
▽40代が13.7%、
▽50代が13.4%、
▽80代が8.5%、
▽70代が7.5%、
▽60代が7.3%、
▽10代が5.2%、
▽90代以上が3.0%、
▽10歳未満が2.7%でした。

このうち、20代は3ポイント余り、30代は2ポイント余り上昇しました。

また、65歳以上の高齢者は500人で前の週より181人減少し、新規の陽性者に占める割合も4ポイント余り減って22.0%でした。

専門家は、高齢者と同居する家族や、医療機関、高齢者施設の職員などが感染しないことが重要だと呼びかけました。

一方、感染経路が分かっている人のうち、家庭内での感染は48.6%で最も多くなりました。

年代別にみると、80代以上を除くすべての年代で家庭内感染が最も多い一方で、80代以上では病院や高齢者施設などの施設内での感染が76.4%を占めています。

このほか、感染経路が分かっている人のうち、施設内は29.7%、職場内は6.7%などでした。

専門家は「気温も上がり、週末を中心に人の流れが増えている」として屋外でも感染防止対策を徹底するよう呼びかけています。

また、「感染の広がりを反映する指標」としている感染経路が分からない人の7日間平均は24日時点で143.4人で、前の週よりおよそ28人減りましたが、専門家は「高い値で推移している」と指摘しました。

医療提供体制

検査の「陽性率」は、24日時点で3.8%と1週間前の4.2%から0.4ポイント低下しました。

専門家は「感染を抑え込むためには濃厚接触者などの積極的な疫学調査を充実させ、陽性率の高い特定の地域などで検査の促進を検討する必要がある。これは『攻めの作戦』だ。病院や高齢者施設に対しては、定期的な検査の実施など戦略を検討する必要がある。こちらは『クラスターを防ぐ守りの検査』だ」と指摘しました。

入院患者は、24日時点で1882人で、今月17日の時点より350人減りました。

専門家は「減少傾向にはあるものの、減少の速度は緩やかで1月初旬から非常に高い水準で推移している」と分析しています。

また、都の基準で集計した24日時点の重症患者は69人で前回より18人減りました。

ただ、専門家は「依然として高い値だ」としたうえで、「重症患者のための医療提供体制は長期間にわたり厳しい状況が続いている。救急の受け入れや予定していた手術の制限を余儀なくされているだけでなく救命救急医療を通常どおり提供できない状況が続いている」と指摘しました。

そのうえで「医療提供体制を正常化するためには、重症化リスクの高い高齢者層の新規陽性者を減らし、重症患者を減少させることが最も重要だ」と指摘しました。

今月22日までの1週間で都に報告された亡くなった人は137人と、前の1週間より35人増えました。

亡くなった人のうち9割を超える125人は70代以上でした。

小池知事 “とことんステイホームを改めてお願いをしたい”

モニタリング会議の中で小池知事は「気を緩めると感染がさらに拡大する可能性がある。ここは感染防止策をとことん徹底をすること、もう一段、感染を抑制することが重要である。都民には平日休日、そして昼も夜も外出の自粛を改めて要請する。最近は春の陽気にもなっているが、とことんステイホームを改めてお願いをしたい」と述べました。

さらに、「来月7日までの緊急事態宣言をこの期間で確実に終わらせる。その先、またリバウンドすると第4波になってしまう。特に変異ウイルスやワクチンの接種がいつになるのかという問題もある。だからこそ、感染の防止策の徹底が必要で改めて感染しない、感染させないという行動を徹底してもらいたい」と述べました。