“宣言”解除後 卒業旅行控え花見は宴会無し 政府分科会が提言

緊急事態宣言を解除する地域や時期について政府内で検討が進む中、新型コロナウイルス対策の政府の分科会は、宣言解除したあとに再び感染を拡大させないための対策について提言をまとめ、会食の際の注意点や卒業旅行などを控えることなど具体的な対策を示しました。

政府の分科会は25日、持ち回りの会合を開き緊急事態宣言が解除されたあと求められる対策の在り方について提言をまとめました。

この中では、緊急事態宣言が解除されると社会の雰囲気として感染対策がおろそかになる懸念があるとして「リバウンド」=感染の再拡大を防ぐことが最重要課題だとしました。

そのうえで宣言が解除された地域での対策について
▽会食は同居家族以外ではできればいつも近くにいる4人までにすることや
▽卒業旅行や歓送迎会は控えて、花見も宴会無しで行うことなどと場面ごとの具体的なポイントを示しているほか、
飲食店に対して
▽二酸化炭素の濃度を目安に換気や店内の人数を調整することや
▽会話の声が大きくならないよう音楽の音量を最小限にすることなどを求めています。

また、国や自治体に対してもリバウンドの予兆を早期に見つけ出すために
▽感染リスクが高いと思われる集団や場所では無症状者に焦点をあてた幅広い検査を行うことや
▽高齢者施設の職員への定期的な検査を着実に行うことなどを求めています。

そのうえで、リバウンドの予兆が確認された場合には
▽重点的なPCR検査や営業時間の短縮要請などを行うことや
▽必要な場合には国が都道府県に対し、集中的な対応が可能となる「まん延防止等(とう)重点措置」を適用することなどを求めました。

政府分科 会尾身会長「解除後に必要な対策を」

政府の分科会の尾身茂会長は25日、記者会見を開いて取りまとめた提言について説明しました。

この中で尾身会長は、緊急事態宣言の解除について「どの地域で宣言が解除されるのかということに社会の関心が向いているが、重要なのはリバウンドを防ぐため解除後に必要な対策を検討することだ。解除してから対策を考えていては遅すぎるので、その前に分科会として提言をまとめた。『解除すればすべてよし』ということではなく国や自治体、市民が一体感をもってそれぞれの役割を果たすことが今後も求められる」と述べました。
新型コロナウイルス対策の政府の分科会がまとめた提言では、宣言解除後にリバウンドを防ぐための対策の1つとして、国が自費検査を行う民間の検査施設に対し、陽性者の検体の提出を要請し変異ウイルスかどうかを調べるよう求めました。

変異ウイルスへの対応について分科会の尾身茂会長は会見で「変異株への感染例は国内でも今後、数が増してきて、従来株と変異株が入れ替わっていくプロセスが少しずつ始まる可能性が高いと判断している。変異株の感染力が強くなっているのかは国内の症例が少ないためまだ十分にはわかっていないが、これからの対策では変異株が重要になるという意識が極めて大事だ。多くの人が民間の自費検査を利用しており、そこでも変異株についてモニターする必要があると考えている。国には、変異株の検査を担う機関への人的支援を含めモニタリング体制を強化していただきたい」と述べました。