全国のデパート 1月売り上げ“緊急事態宣言”で大きな落ち込み

全国のデパートの先月の売り上げは去年の同じ月と比べて29.7%減少しました。

東京や大阪などで緊急事態宣言が出された影響で、特に都市部の店舗の売り上げが大きく落ち込んでいます。

日本百貨店協会によりますと、全国のデパート196店舗の先月の売り上げは、既存店の比較で去年の同じ月と比べて29.7%減少しました。

前の年の同じ月を下回るのは16か月連続です。

東京など11都府県で緊急事態宣言が出され、営業時間の短縮や、外出自粛の傾向が強まったことが影響し、宣言が出る前の去年12月と比べても16ポイント悪化しています。

特に都市部ほど影響が大きく、東京や大阪など10都市にある店舗では、マイナス32.1%となっているのに対して、そのほかの地域の売り上げはマイナス23.2%にとどまり都市部との間で売り上げに差が見られます。

品目別では、衣料品がマイナス39.8%と大きく落ち込んだほか化粧品もマイナス38.1%でした。

日本百貨店協会は、先月は特に都市部で外出を控える動きが強まり、売り上げの落ち込みが大きくなったと見ていて、比較的好調なネット通販に力を入れるなどして売り上げの回復を図ることにしています。

都心の店は「ライブコマース」に活路

来店客の減少が続く都心のデパートの間では、インターネットの生中継で店員が商品を販売する「ライブコマース」を取り入れて売り上げを伸ばそうという動きがあります。

「ライブコマース」は、中国で大手のネット通販事業者を中心に広く行われている販売方法で、このところ国内でも注目されています。

JR東京駅に隣接する大丸の店舗では、来月初めて「ライブコマース」を行うことにしていて、店では本番に向けた準備が進められています。

営業終了後の店内ではタブレット端末と照明器具を据え付けて、従業員が生中継に備えて商品を説明する練習をしていました。

この店の「ライブコマース」は、出演も撮影もすべて従業員が行う「手作り」です。

来月4日の本番では、東日本大震災の復興支援の意味合いも込めた福島県産の牛肉や水産物などを販売することにしていて、従業員たちは台本の読み合わせをしたり撮影のアングルを調整したりしていました。

この店ではこれまでも通常のネット通販は行っていますが、実際に店を訪れる客が減少する中、「ライブコマース」を取り入れて、従業員がいきいきと商品の魅力を紹介することで、売り上げのアップにつなげるねらいがあります。

大丸東京店営業推進部の中西正明さんは「コロナで売り上げは厳しい状況が続いている。店舗にお客さんが来てくれることがいちばんだが、不慣れではあるが『ライブコマース』を使って、店に来られない人にも商品の魅力を伝えていきたい」と話していました。

郊外の店では在宅需要で売り上げアップを

デパートの売り上げは、都市部と郊外で差が広がっています。

「そごう・西武」は東京 池袋にある店舗で、先月の売り上げが去年の同じ月よりも30%近く落ち込んだのに対し、郊外の横浜市戸塚区にある店舗は15%のマイナスと、比較的小さな落ち込みにとどまりました。

この店では新型コロナウイルスの感染拡大以降、地元住民のニーズを取り込もうと対策を強化し、去年10月、店舗の一部を改装してテレワーク用のスペースを設置しました。

従来、都内に通勤していた人にテレワークで利用してもらい、帰宅する時には、ついでに買い物もしてもらうねらいです。

そして、食品フロアにも力を入れています。

人気のカフェや総菜店を新たにオープンさせたほか、日本酒など酒類の品ぞろえを強化し、これまでは都内の店舗でしか扱っていなかった商品を並べて売り場の充実を図りました。

その結果、先月の食品フロアの売り上げは去年とほぼ同じ水準まで回復し、今月に入ってからは、去年を上回るペースで推移しています。

食品フロアの責任者の川端和弘さんは「コロナで外出できない分、リピーターも増えたと感じている。地域に根ざしている店なので、これからも地元の方に支持されるような品ぞろえを心がけていきたい」と話していました。