東京パラまで半年 8割超の競技団体“観客制限せざるをえない”

東京パラリンピックの開幕まで24日で半年です。大会組織委員会などは春までに観客数の上限を決めることにしていますが、NHKが東京パラリンピックの競技団体に会場での観戦がどの程度可能かを尋ねたところ、8割以上の団体が観客を制限せざるをえないと考えていることがわかりました。

NHKは、東京パラリンピックの開幕まで半年となるのに合わせて今月、国内26の競技団体を対象にアンケート調査を行い、25の団体から回答を得ました。

この中で、観客の会場での観戦がどの程度、可能かを尋ねたところ「5割程度」と答えた団体が32%と最も多く「無観客」と「コーチ、介助者、家族など関係者のみ」がそれぞれ16%で、何らかの制限が必要とした20%と合わせて、全体の84%が観客を制限せざるをえないと考えていることがわかりました。

一方で「満席」と回答した団体はなく、当初、パラリンピックで目標にしていた、会場を満席にする「フルスタジアム」の実現は難しいという見方が広がっていることもわかりました。

観客を制限せざるをえない理由としては「感染が収まっていない現状では無観客でなければ開催できない」とか「観客は不特定多数のため管理ができない」と感染対策の難しさを指摘する声があがりました。

このほか「普及のためにパラ競技を実際に見てもらいたいと訴えてきたので、満席を希望しているが、現時点では無観客でもしかたない」とオリンピックに比べて注目が集まりづらいパラ競技の普及への影響を懸念する団体もありました。

大会組織委員会や政府などは、この春までに観客数の上限や、海外からの観客の受け入れについて決めることにしていて、国内だけでなく、海外の感染状況も見極めながら難しい判断を迫られることになります。

パラリンピック パラ競技普及にとって「唯一無二の機会」も

パラ競技は注目が集まりにくく、多くの観客が訪れるパラリンピックは普及を進めるうえで唯一無二の貴重な機会になると、考えられています。

実際に、現地でさまざまな障害がある選手が活躍する姿や、選手をサポートする人たち、それに競技で使われる専用の義足や車いすなどを間近で見てもらうことで、競技のだいご味を知ってもらうだけでなく、多様性について考えるきっかけになることも期待されています。

大会組織委員会は、東京パラリンピックで会場を満員にする「フルスタジアム」を実現するため、最も安いチケットをグループ向けで500円と買い求めやすい価格設定にしたほか、自治体を通して児童や生徒に販売する「学校連携観戦チケット」も活用して子どもたちの観戦も促したいとしていました。

しかし、大会が1年延期されたことに伴って、すでにおよそ97万枚が販売されていたチケットはおよそ20万枚、払い戻しの申請がありました。

大会組織委員会や政府などは、この春までに観客数の上限や、海外からの観客の受け入れについて決めることにしていて、関係者からは「観客数が制限された場合、東京オリンピックよりも東京パラリンピックへの影響のほうが大きくなるのではないか」という指摘の声もあがっています。