イスラエル ワクチン接種証明「グリーン・パス」発行

世界でも速いペースで新型コロナウイルスのワクチン接種が進むイスラエルでは、接種したことを示す証明書「グリーン・パス」を発行し、スポーツジムやイベント会場などでの提示を義務づけ、接種率のさらなる向上を目指しています。

イスラエルでは、去年12月中旬から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、これまでに人口の4割を超える437万人が1回目の接種を受け、このうちおよそ7割にあたる299万人が2回目の接種を終え、世界でも速いペースで接種が進んでいます。

1日の新規感染者数も先月中旬以降、減少傾向にあることから、今月21日から外出制限が一部緩和され、ショッピングモールなどが再開しました。

さらにイスラエルは、接種を2回受けてから1週間以上経過したことを示す証明書「グリーン・パス」を発行し、スポーツジムやイベント会場などでの提示を義務づけました。

ジムを訪れた女性は「戻ることができてうれしい。ワクチンを接種しても、感染する可能性もあるし、誰かに感染させてしまうかもしれないので、これまでと同じように対策をとりたいです」と話していました。

また、ジムを経営するリア・エルバスフィンケルバーグさんは「5か月にわたって、ジムを開くことができませんでした。感染のリスクがないわけではないので、マスク着用や利用者どうしの距離に気をつけながら、運営します」と話しています。

イスラエルは来月末までに16歳以上のすべての国民にワクチンを接種することを目標に、今後グリーン・パスを普及させて、接種率のさらなる向上を目指しています。

グリーン・パスの仕組み

「グリーン・パス」は、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたことを示すイスラエルが発行する証明書で、今月21日からワクチン接種を2回受けた人なら誰でも証明書を受け取ることができます。

イスラエルでは、政府の公式ウェブサイトで自身のIDカードの番号や電話番号を入力することで発行されるほか、政府が開発したスマートフォンの専用アプリでも表示できるようになる予定です。

また、インターネットを使わないユダヤ教の教えを厳格に守る「超正統派」と呼ばれる人たちや高齢者は、公的な保険機関の窓口などで受け取ることができます。

グリーン・パスはスポーツジムやプール、それにイベント会場などで提示が義務づけられていて、利用にあたっては施設側が専用のアプリで利用者のグリーン・パスに掲載されているQRコードを読み込むと、ワクチンの接種時期などについて確認できるようになっています。

イスラエルでは医療サービスのデジタル化やデータベース化が進んでいて、政府と公的な保険機関の間でワクチン接種などの医療情報が共有されていることから、簡単な手続きでグリーン・パスを発行することができます。

さらに、新型コロナウイルスにすでに感染した人には「回復証明書」が発行され、グリーン・パスと同様に提示することで施設などを利用することができるということです。

コンサート会場でも提示

イスラエルが占領し自国の領土として扱っている東エルサレムのユダヤ人入植地では22日、イスラエルの人気歌手のコンサートが行われました。

会場の入り口では係員が入場者にグリーン・パスの提示を求め、接種の有無を確認したうえで、体温をはかるなどの感染対策を行っていました。

エルサレム近郊から訪れた男性は「イベントに出かけるのはおよそ1年ぶりで、こうして友人と一緒にコンサートに行けるのをずっと楽しみにしていました。ワクチンを接種して、グリーン・パスをもらえば、こうして出かけることが許されるので、理にかなっていると思います」と話していました。

一方、女性の1人は「去年の3月以来、初めてのコンサートで、夢がかなったみたいです。ただ、こんなに大勢の人がいるので、ワクチン接種が証明できても、本当に安全かどうかは分からず、不安は残ります」と話していました。