米ファウチ博士 WHO記者会見参加 「ワクチン公平に分配を」

アメリカ政府で新型コロナウイルス対策を担うファウチ博士がWHO=世界保健機関の記者会見に参加し、ワクチンの各国への公平な分配などに向けアメリカがWHOなどと協力して対策にあたっていく姿勢を強調しました。

アメリカ政府で新型コロナウイルス対策を担う首席医療顧問のアンソニー・ファウチ博士は22日、WHOの記者会見にゲストとして参加しました。

この中でファウチ博士は、中国当局が去年1月に新型コロナウイルスのデータを提供したあと、早い国では1年足らずでワクチンの接種が始まったことについて「先例のない成果だ」と述べ、各国が異例の規模の投資を行った成果だと評価しました。

そのうえでファウチ博士は「ワクチンはアメリカだけでなく世界中に公平に分配されなければならない。これは世界的なパンデミックだからだ」と述べ、アメリカがWHOや各国と協力して新型コロナウイルス対策にあたっていく姿勢を強調しました。

バイデン政権は、WHOから脱退するとしたトランプ前政権の方針を撤回するとともに、WHOに2月中に2億ドル余り、日本円で210億円余りを拠出することを表明していて、国際社会と連携してウイルス対策にあたる姿勢を鮮明にしています。

アメリカでのワクチン接種 現状は

去年12月から新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まったアメリカでは今月22日までに4413万人以上が少なくとも1回の接種を受け、2回の接種を完了した人も1943万人と、人口の5.9%に上っています。

CDC=疾病対策センターによりますと、連邦政府が1回目の接種のために各州などに配分するワクチンの量は、先月には1週間当たり400万回分程度でしたが、今月に入って徐々に増加し、今月22日の週は680万回分近くに達しました。

一方で、供給のスピードが接種を求める人に追いつかない状況も生まれています。

接種開始から2か月以上たった今も大都市を中心にワクチンの接種の予約は困難な状態が続いていて、先月、ニューヨーク市ではワクチンが確保できないとして接種の予約をキャンセルする事態となったほか、今月にはカリフォルニア州ロサンゼルス市が、同様の理由で市内の複数の接種会場を一時、閉鎖しました。

また、南部から東部にかけての厳しい寒波の影響で供給も滞り、テキサス州ではほぼ1週間にわたり、接種が中断されたところもあります。

州によってはワクチンの接種対象を、医療従事者や65歳以上の高齢者だけでなく、食料品店の従業員などのいわゆるエッセンシャルワーカー、教師、それに重症化するリスクのある持病のある人などにも拡大したところもあり、接種を求める人に対し供給が追いつかない状態がさらに悪化する懸念も出ています。

供給量が増加しても、接種を行う場所や、医療従事者の確保も必要で、アメリカ政府は軍の医師などを動員して、接種の支援を行うほか、引退した医療従事者に現場に復帰してもらう施策を進めるなどして、接種のペースを上げたいとしています。