衆院予算委 カーボンニュートラルや新型コロナ対策などで論戦

国会では、衆議院予算委員会で集中審議が行われ、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする「カーボンニュートラル」への取り組みや、新型コロナウイルス対策などをめぐり論戦が交わされました。

自民党の額賀・元財務大臣は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す政府の方針について「世界中のどの国も『カーボンニュートラル』を実現しなければならないと思っている。『カーボンニュートラル宣言』のねらいと意義、実現に向けた決意を国民に発してほしい」と求めました。

これに対し菅総理大臣は「環境対策は、経済の制約ではなく次の成長の原動力になる。民間企業の大胆な投資とイノベーションを促し、産業構造の転換と、力強い成長を生み出していきたい。先端技術分野などで国際社会をリードし、脱炭素社会の実現に全力で取り組んでいく」と述べました。
公明党の斉藤副代表は「核兵器の問題は、密接に環境問題などとも絡んでくる。2030年をゴールとする、国連が定めた持続可能な開発目標=『SDGs』と歩調を合わせ、核兵器のない世界の実現に向けて議論していくべきではないか」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「国際社会では、核兵器のない世界の実現という目標は広く共有されているが『SDGs』のように達成の時期は定められていない。核軍縮の進展に向け、広島や長崎における被爆の実相を伝える取り組みなどを通じて、立場の異なる国々の橋渡し役に努めていく」と述べました。
立憲民主党の大串博志氏は新型コロナウイルスのワクチンの高齢者への接種をめぐり「接種を担当する河野大臣が『4月は難しそうで、少しずつしか始められない。テスト的にしか始められない』という発言をした。このような方針は聞いていたのか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「『テスト的に』という話は聞いていなかった。4月から進めていく中で、河野大臣が準備を進め、随時、明らかになりしだい、地方自治体に報告をして、混乱のない形で進めていくと理解している」と述べました。
共産党の高橋千鶴子氏は、東日本大震災からの復興について「道路や住宅、防潮堤など『ハード』が立派に整備されても人々の暮らしやなりわいが再建できなければ、本当の復興とは言えない」と指摘しました。

これに対し菅総理大臣は「防災や産業、生活の基盤として『ハード』を整備したうえで、産業やなりわいの再生のための『ソフト施策』も同時に進めてきた。今後は特に、地域コミュニティーの再生や、事業者の販路開拓の支援など『ソフト施策』に注力して、きめ細かな対応を行っていきたい」と述べました。
日本維新の会の杉本和巳氏は「衆議院議員の任期満了近くまで、とにかくワクチンの接種をやり、東京オリンピック・パラリンピックも進めていく覚悟だと思う。ワクチン接種と衆議院の解散について、答えてもらいたい」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「1日も早く、国民に安全で有効なワクチンを届けられるよう、全力で取り組んでいる。他方で、選挙は、民主主義の根幹をなす重要なものだ。いずれにせよ、この秋までのどこかで衆議院選挙を行う必要があり、よく考えて決めたい」と述べました。
国民民主党の古川国会対策委員長は、新型コロナウイルスをめぐり「『こういう状況が収束だ』というめどがわからないと、国民の不安を拡大させる。『収束宣言』のようなものは、出さないのか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「例えば、緊急事態宣言は『ステージ4』とか、いろんな数字は掲げているが、現実問題として『このような状況になったら収束』という宣言は、なかなか難しいと思う。そうしたことも、専門家の話を聴きながら、進めていきたい」と述べました。