ニュージーランド地震10年 追悼式始まる 日本からの参列見送る

日本人28人を含む185人が死亡したニュージーランド南部の地震から22日で10年です。新型コロナウイルスの影響で外国人の入国が原則禁止されていることから、ことしの追悼式典には日本からの遺族の参加は見送られました。

2011年2月22日、ニュージーランド南部で発生したマグニチュード6.3の地震では、クライストチャーチ中心部の語学学校が入ったビルの倒壊などにより日本人28人を含む185人が死亡しました。


発生から10年となる22日、クライストチャーチではアーダーン首相や遺族などが参加して追悼式典が始まり、地震発生時刻の現地時間午後0時51分、日本時間午前8時51分に黙とうがささげられました。

式典の様子 インターネットでライブ配信

式典には例年日本人の犠牲者の遺族も参加していますが、ニュージーランドでは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため去年3月以降外国人の入国が原則禁止されていることから、ことしは日本からの遺族の参加は見送られました。

式典の様子はインターネットでライブ配信されています。

この地震をめぐっては、倒壊したビルに構造上の重大な欠陥があったことが確認されていて、クライストチャーチのダルジール市長は去年、市の道義的責任を認めて日本人を含む遺族やけがをした人たちに正式に謝罪しました。

地震当時から続く 助け合いの輪

地震のあと、クライストチャーチでは地元の大学生たちがグループを立ち上げてがれきの片付けなどを行いましたが、10年たった現在もさまざまなボランティア活動を続け、助け合いの輪を広げています。
「Student Volunteer Army」と名付けられたこのグループ、設立者のサム・ジョンソンさん(32)は地震当時は地元カンタベリー大学の学生でした。

被害を目の当たりにして「時間も体力もある学生たちで地域を助けたい」と、SNSで友人たちに協力を呼びかけた結果、およそ1万1000人が集まり、がれきの片付けや壊れた住宅や道路の修復作業を行いました。

当時の経験についてジョンソンさんは「おそろしい災害でしたが、学生だった私たちにとっては自分たちが地域の役に立ち、人々を助けることができるということに気付くきっかけになりました」と振り返ります。

地震の翌月に東日本大震災が発生すると、ジョンソンさんたちはニュージーランドでの経験を生かそうと東北地方に向かい、被災地でがれきの片付けなどを手伝いました。

去年3月から4月にかけて新型コロナウイルスの感染対策として外出制限が導入されると、高齢者の世帯を支援しようと食料の買い出しを代行しました。

このほか各地で清掃や植樹も行っていて、これまでの活動に参加した学生は合わせて16万人と、国内最大規模の学生ボランティア団体となりました。

世界中が新型コロナウイルスの影響を受ける今こそ助け合いが特に重要だと考えるジョンソンさんは「前を向いて地震から学んだことを生かし、よりよい国を作っていくことが大切です」と話していました。