JRA「持続化給付金」適切に受給か 日本調教師会に調査要請

新型コロナウイルスの影響で売り上げが大きく落ち込んだ事業者を対象に支給される「持続化給付金」の不正受給が大きな社会問題になる中、JRA=日本中央競馬会は、「持続化給付金」を調教師の助手などが適切に受給していたかどうかを把握するため日本調教師会に対し調査を要請しました。

調教助手などの新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」をめぐっては、17日の衆議院予算委員会でJRAのトレーニングセンターで働く調教助手やきゅう務員などが収入が減少したとして、持続化給付金を不適切に受給していたのではないかという趣旨の質問があり、野上農林水産大臣は「厳正な対応を取るよう指示をした」と述べJRAに対し、事実関係の把握と不適切な受給があれば返還させる考えを示しました。

これ受けてJRAは、日本調教師会と対応を協議し、調教助手などが持続化給付金を適切に受給していたかどうかを調査するよう要請しました。

JRAは「大臣からの指示を受け、事実関係を把握して不適切な受給などがあれば調教師会と情報を共有し適切な対応を取りたい」と話しています。

一方、JRAの要請を受けた調教師会では各きゅう舎に対して所属する調教助手など全員の調査をするよう通達したということで、今月中にも結果をまとめる方針です。

調教師会は「全容解明に向けて十分な対応をしていきたい」とコメントしています。

調教助手やきゅう務員 収入影響小さい

JRAによりますと新型コロナウイルスの感染拡大の影響でレースの回数が減ったり、売り上げが大幅に減少したりしたことはないということです。

感染拡大の影響で、JRAでは去年2月下旬から全国の競馬場で観客を入れずにレースを始めました。

その後、去年10月からは、一部の競馬場で指定席に限定する形で観客を入れていましたが、感染拡大を受けて先月から再び無観客で開催しています。

一方、新型コロナの影響によるレースの中止はここまで1回もなく、去年行われたレースの数は3456回で過去最多となりました。

ことしも今月14日までに456回行われています。

賞金への影響については、一部の競走馬が海外や地方競馬でのレースに参戦できなくなったケースがあるものの、JRAは、中央競馬のレース自体で賞金の減額がないとしていて、調教助手やきゅう務員の収入への影響は小さいものとみられます。

調教助手ときゅう務員とは

調教助手ときゅう務員は、茨城県美浦村と滋賀県栗東市にあるJRAのトレーニングセンターに設けられているきゅう舎に所属しています。

JRAによりますときゅう舎はおよそ200あり、調教助手ときゅう務員は、調教師の指示のもと競走馬の世話などに当たります。

2つのトレーニングセンターには合わせておよそ2400人が勤務しているということです。

毎月の給料は雇用主の調教師から支払われています。

このほかにも担当した競争馬の成績に応じて「進上金」と呼ばれる報酬を受け取ることができます。

JRAによりますと「進上金」は慣例で馬主から調教師に、賞金のうちの15%ほどが支払われ、さらにその一部を調教助手やきゅう務員が受け取るということです。

野上農相「事実であれば極めて遺憾」

野上農林水産大臣は19日の閣議のあとの会見で「不正受給が事実であれば、極めて遺憾であるとともに、競馬に対する国民の皆様の信頼を損ないかねないと考えている。JRA=日本中央競馬会に対しては事実関係を把握し、不正受給があれば返還させるなど、厳正な対応をとるよう指示した」と述べました。