別の変異ウイルス確認 “抗体の働き弱くなる可能性”

新型コロナウイルスの変異ウイルスについて東京医科歯科大学のグループは、イギリスなどで広がったのとは異なる別の変異ウイルスを確認したと発表しました。感染力が高まる変異はないものの抗体の働きが弱くなる可能性があるということです。

これは東京医科歯科大学の武内寛明講師らのグループが発表しました。

グループは大学の附属病院を訪れた新型コロナウイルスの患者から検体を集め、ウイルスの遺伝情報を詳しく調べました。

その結果、去年12月下旬から先月中旬までの間に診察した3人の患者から検出されたウイルスに「E484K」と呼ばれる遺伝子の変異が確認されたということです。

「E484K」の変異は抗体の攻撃を避ける性質に関係するとされ、同じ変異は南アフリカやブラジルで確認された変異ウイルスでも見つかっていますが、これらのウイルスとは違って感染力を高める変異はありませんでした。

3人の患者は海外への渡航歴はなくいずれも無症状か軽症だったということです。

グループでは「抗体が効きにくいタイプの変異ウイルスが市中でどのくらい広がっているかは分からないが、推移をモニタリングして流行の実態を把握することが重要だ」としています。

また、国立感染症研究所は同様の変異ウイルスはこれまでに関東全域で91件、空港検疫で2件、見つかっていることを明らかにし、今後、実態を把握していくと発表しています。

国立感染症研究所ではこれまでに見つかっているイギリスで広がった変異ウイルスなどと同様の警戒が必要な状況では無いとしていて、いずれの変異ウイルスに対しても3密を避けることやマスクの着用、手洗いなどの徹底といった基本的な対策は変わらないとしています。