新型コロナ ワクチン先行接種始まる 医療従事者 約4万人対象

17日から医療従事者を対象にした新型コロナウイルスのワクチンの接種が、全国の医療機関で始まりました。
厚生労働省によりますと、17日午後5時までに全国の8か所の病院で合わせて125人の医療従事者が接種を受けたということです。これまでのところ、目立った副反応は報告されていないとしています。

国内で初めて承認されたアメリカの製薬大手ファイザーのワクチンは、17日以降、およそ4万人の医療従事者を対象に、全国の100か所の病院で先行して接種が行われます。

このうち東京 目黒区の国立病院機構東京医療センターでは、午前9時前に全国の病院で最も早く接種が始まりました。

初日の17日は、医師や看護師など12人が接種を受け、接種後は様子を見るため、15分間、部屋で待機していました。

午後5時の時点で、目立った副反応は確認されていないということです。

この病院では、職員や委託業者など合わせておよそ800人が先行接種を受ける予定で、2回目の接種は3週間後に行われるということです。

125人が接種

厚生労働省によりますと、17日午後5時までに全国の8か所の病院で合わせて125人の医療従事者が接種を受けたということです。これまでのところ、目立った副反応は報告されていないとしています。
厚生労働省は全国で先行接種を受ける4万人のうちおよそ2万人について、2回目の接種から4週間後まで発熱などの副反応が見られないかを調査し、結果を定期的に公表することにしています。

接種のスケジュールは

医療従事者への先行接種は全国の100か所の病院で合わせておよそ4万人を対象に行われ、来週にはすべての病院で始まる見通しです。

厚生労働省は来月中旬をめどに残るおよそ370万人の医療従事者に接種できる体制を確保し、4月からは65歳以上の高齢者およそ3600万人を対象に接種を始めることにしています。

その後は、基礎疾患のある人およそ820万人や高齢者施設などの職員およそ200万人などを優先しながら順次、接種を進める方針です。

東京医療センターの先行接種は

東京医療センターによりますと今回、先行接種を受けるおよそ800人は事前にワクチンの有効性と副反応に関する情報を説明したうえで20歳以上の希望者の中から職種や勤務する部署などを考慮して選んだということです。

対象となるのは医師や看護師、検査技師それに事務職員などで、病院の職員のほか委託する業者からも選ばれています。

初日の17日は医師3人と看護師5人、検査技師2人、それに事務職員2人の合わせて12人に接種が行われました。
接種会場となったのは病院の会議室で、職員たちは入り口で予診票を受け取って記入したあと医師の問診を受けて接種を受けていました。
接種に使用されたのは「バイアル」と呼ばれる1つの容器から6回分のワクチンをとれる特殊な注射器だということです。
会場ではアナフィラキシーが起きた場合に備えて救急搬送用のストレッチャーも用意され、接種後15分間は体調に変化がないかを観察するため部屋に待機していました。

午前11時の時点では接種を受けた12人に目立った副反応は確認されなかったということです。

また、17日はほかの職員への接種は予定されていないということです。

1回目の接種は来月10日にかけて2回目の接種は来月11日から31日にかけて実施される予定で、接種を受けた職員らは2回目の接種から4週間後まで健康状態を継続的に記入するということです。

先行接種は国立病院機構と地域医療機能推進機構、それに労働者健康安全機構に属する合わせて100の病院で行われ、政府によりますと来週中にはすべての病院で接種が始まる見通しだということです。

東京医療センター院長「多少なりとも安心感」

全国で最初に先行接種が行われた東京医療センターの新木一弘院長は、病院で最初に接種を受けたあと記者会見を開きました。

新木院長は「注射は好きではないが痛くなくてよかったというのが率直な感想だ。受けて30分以上たつが全く痛みがない」と述べました。

そのうえで「新型コロナ対策の切り札と考えられている待望のワクチンの先行接種が全国で先駆けて始まり、関係者にお礼を申し上げる。医療従事者は市中感染だけでなく院内感染に絶えずさらされているという危機感を持っている。ワクチンをうつことで医療従事者にとって安心感が多少なりとも得られると思う」と述べました。

続いて、副反応に関する調査の対象となることについて「調査研究の結果が職員や患者、家族の感染防止に役立つとともに、国民にワクチンを安心して受けてもらえるデータとして有効に活用されることを期待している」と述べました。

山本厚生労働副大臣「収束に向けて大きな第一歩」

先行接種を視察した山本厚生労働副大臣は記者団に対し「新型コロナウイルスの収束に向けて希望の大きな第一歩になった。先行接種の現場を見て、胸が熱くなる思いがした。全国の医療従事者や自治体と連携し、丁寧に意見を聞きながら国民が一日も早く安心してワクチン接種ができるよう全力で取り組んでいきたい」と述べました。

専門家「遅れても焦らず」

ワクチン接種の開始が海外に比べて遅れたことについて、川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「欧米など、各国に比べて感染者が少なく、国内の臨床試験で速やかにデータが得られなかったことや、国内でワクチンを開発する研究開発能力が整っていなかったことなど、さまざまな要因が背景にあると思う。ただ、この時期になったことで、海外の臨床試験の結果や接種状況などを参考にして、効果や安全性をかなり正確に見極めることができた。不安材料をある程度、排除できたという意味ではメリットもあったと言える」と指摘しました。

そのうえで、今後のワクチンの接種の進め方について「拙速に進めると、思わぬトラブルや事故につながる可能性があり、決して焦ってはならない。速さではなく、正確さと安全性を最優先に接種を進めていく必要があり、接種を受ける側も、そうしたポイントを理解しておく必要がある」と話していました。