ペルー 元大統領らワクチン事前接種 立場利用と国民から非難

南米のペルーでは、元大統領など500人近い政治家や公務員が立場を利用して新型コロナウイルスのワクチンを事前に入手し、接種していたことが明らかになり、国民の非難が高まっています。

南米のペルーでは、新型コロナウイルスの感染者がこれまでに123万人を超え、およそ4万3000人が死亡していて、今も感染が拡大しています。

こうした中、今月9日から、中国製のワクチンの接種が始まりましたが、政府が調査した結果、500人近い政治家や公務員がワクチンを事前に入手し接種していたことがわかりました。

このうちビスカラ元大統領は、在任中の去年10月、医療従事者を対象にワクチンのテストが行われた際に家族とともに接種を受けたということです。

ビスカラ氏はワクチンの接種について「私と家族は新薬開発のため勇気を持ってボランティアで試験に参加しただけだ」としています。

また、ワクチンをめぐり中国との交渉役を務めていた外相も、先月、接種を受けていたことが明らかになり、今月14日に辞任しました。

こうした事態を受けて、保健担当の閣僚が責任をとって辞任したほか、捜査当局は不正にワクチンを入手した疑いで複数の政治家や公務員に対する捜査を進めています。

ペルーでは、十分なワクチンを確保できておらず、多くの国民は接種を受けられない状況で、非難の声が高まっています。