イタリア 新首相にヨーロッパ中央銀行の前総裁が就任へ

イタリアでは、首相が辞任するなど政治の混乱が1か月近く続いてきましたが、ヨーロッパ中央銀行の前の総裁のドラギ氏が、主要な政党の支持を得て、超党派の政権を率いる新しい首相に就任することになりました。

イタリアでは先月下旬、新型コロナウイルスの経済対策をめぐる対立からコンテ首相が連立政権の運営に行き詰まって辞任し、新たな連立協議もまとまらなかったため、大統領の要請を受けたヨーロッパ中央銀行の前の総裁のドラギ氏が、超党派の政権の樹立に向けて各政党と協議を続けてきました。

ドラギ氏は12日、マッタレッラ大統領と会見し主要な政党の支持が得られたとして新政権の閣僚名簿を提出し、ドラギ氏が新しい首相に就任することになりました。就任式は13日に行われます。

ドラギ氏は73歳。
大手金融機関の幹部や、イタリアの中央銀行にあたるイタリア銀行の総裁を歴任したあと、ヨーロッパ中央銀行の総裁を8年にわたり務め、信用不安への対応が評価されました。

イタリアは、新型コロナウイルスの死者が9万3000人を超える中、感染を抑えるとともに深刻な打撃を受ける経済の立て直しが課題で、市民からは「イタリアを変革させ、よりよくしてくれることを期待している」と歓迎する声があがる一方で、「議会で各党が協力するとは思えない。ドラギ氏はよいが議会が問題になる」と超党派の政権の先行きを不安視する声も出ています。