藤田観光 大阪の宴会施設「太閤園」を売却へ コロナで財務悪化

ワシントンホテルなどを全国に展開する「藤田観光」は、新型コロナウイルスの影響で財務が悪化したことから、大阪市にある宴会施設の「太閤園」を売却し、ことし6月末で営業を終了することを明らかにしました。

「藤田観光」が12日、発表した去年1年間のグループ全体の決算は、新型コロナウイルスの影響で旅行や宴会の需要が落ち込み、最終的な損益が過去最大の224億円の赤字となりました。

財務の健全性を示す自己資本比率は、去年12月末の時点で1.2%に低下しました。

財務の改善に向けて、「藤田観光」は大阪市にある宴会施設「太閤園」について、土地と宴会場やレストランなどの施設を売却し、ことし6月末で営業を終了することを明らかにしました。

売却先や売却額は明らかにしていませんが、売却に伴う特別利益としておよそ329億円を計上して、財務を改善させる方針です。

大阪城の北側にある「太閤園」は1959年に開業し、広さおよそ8000坪の庭園に建物が築100年を超える料亭のほか、結婚式場や宴会場があり、おととしのG20大阪サミットでは、閣僚会合の会場として使われました。

記者会見で野崎浩之 取締役は「資本の増強が必要な厳しい状況の中で、太閤園の売却は苦渋の決断だった。これによって会社を存続させることができるようになったと考えている」と述べました。

「藤田観光」は、ワシントンホテルやホテルグレイスリーをはじめ、東京の椿山荘や神奈川県の箱根小涌園など、宿泊施設や宴会施設を全国に展開していますが、業績が悪化しており、従業員の削減なども進めて経営の立て直しを図ることにしています。